オリバー・ストーンという人物

映画監督というより真実の探求者ーー。

都内のホテルでインタビューしたあとの思いである。ストーン監督が来日したのは新作映画『スノーデン』のプロモーションのためだが、私の狙いは監督がいだくアメリカ政府と世界情勢への思いを訊くことだった。

19日午前のテレビ朝日の番組でインタビューの抜粋が放映された。だが30分のインタビュー時間のうち、映像で使われたのは10分も満たない。テレビという媒体の性質上いたし方ない。

テレビで紹介されなかったところで、監督はハッとさせられるようなことをいくつも口にした。

「DNC(民主党全国委員会)のメールがウィキリークスによって漏洩されました。ウィキリークスは一切どこからメールを入手したかを言わなかった。あれは民主党内部に密告者がいてウィキリークスに渡したのです。ロシアではない」

昨年の大統領選でヒラリー・クリントンに不利になるようなメール内容である。ロシアが関与していると言われてきたが、実は党内部に内通者がいたのだ。

DNCが不法行為を行っているから怒りを覚えて密告したというのだ。

監督はスノーデンが亡命しているモスクワに9回も行って、長時間のインタビューを行っている。さらにプーチンにもインタビューしている。現在はプーチンのドキュメンタリーを制作中だ。

ジャーナリスト以上にジャーナリストらしい姿勢で真実を追求しようとしている。70歳になっても活力は衰えていない。久しぶりにインタビュー後に清々しい心持ちになった。