先日、スウェーデン人の青年を囲った食事会があった。日本にきて間もないので、日本語はポツリポツリである。こちらとの会話は英語になる。
北欧の人たちの多くが「普通に」英語を話すことは知っていた。彼もそうだった。
うらやましいのは「イギリスにもアメリカにも住んだことはありません」と言いながら、ほとんど英米人と同じレベルの英語を話していたことだ。
「スウェーデンでは英語を小学校2年からやります。私は他の人たちより、少しマシかな?」
2年生から高校卒業までの英語教育で、ほとんどの人が英語を話せるようになるという。言語学的にスウェーデン語が英語と近いという理由もあるが、日本人からみれば「ズルイ」以外にない。
私はアメリカに25年もいたので話せて当たり前だが、言いたいことを英語でスッと言えるようになるまでにはずいぶん苦労した。日本の英語教育だけでペラペラになった人がいたら、ご紹介してほしいくらいだ。
今春、「英語ができる」高校3年生と話をした時、愕然とさせられた。
というのも、彼女は大学受験の模試で偏差値83を取ったことがある生徒だったが、英語をペラペラ話せるわけではなかった。
都内の進学校に通い、「英語ができる」生徒でも話せないのが日本である。これは英語でモノを考えていないからで、頭の中で日本語から英語に翻訳しているかぎり、本当にしゃべれることにはならない。
文科省が主導して、全国の英語の先生たちに訳す作業をやめさせて英語だけで授業を進め、生徒たちに英語でモノを考えさせれば少しずつ変わっていくはずだ。
それでも英語が嫌いで、勉強をしない、話そうとしない、英語で考えようとしない人は今後もずっと英語は話せないままである。