集団的自衛権のあり方

首相の安倍が憲法違反を犯している。

憲法を改正せずに集団的自衛権を行使するという解釈改憲は、立憲主義に反することである。憲法をここまで歪めて解釈することなどあってはならない。現行憲法を破壊しているのと同じだ。

定期的に参加する勉強会のゲストとして、以前慶応大学名誉教授の小林節にお越し頂いたことがある。この暴挙を「憲法ハイジャック」と呼び、「安倍政権は錯乱しているとしか思えない。憲法の精神をひとひねりするなど、あり得ない」と憤慨していた。

本来、憲法は権力者(政治家)を縛るものだが、いまは逆に権力者が憲法を勝手にいじりはじめている。

私は集団的自衛権の問題を大きく2つに分けて考えている。1つは集団的自衛権そのものを認めるべきかどうかの問題。もう1つが今回の解釈憲法が妥当かどうかという点だ。

2つ目の答えから述べさせていただくと、冒頭で書いたとおり、憲法改正には国民の3分2以上の賛成が必要であって、それを無視して憲法を勝手に解釈することなどあってはいけない。昨年、安倍は憲法改正の手続きを定めた96条を改正しようとしたができなかった。

その時点で9条の改正は将来へと先送りされたが、今回「わがまま坊主がだだをこねまくって勝手に解釈を変えた」という結果になってしまった。ヨーロッパ諸国なら暴動が起きても不思議ではない。

1つめの集団的自衛権そのものの問題は賛否両論がある。私は改憲派なので、30年前から集団的自衛権は認めなくてはいけないと考えている。何の迷いもない。

アメリカは同盟国である。自衛隊と一緒に活動している米軍の駆逐艦が他国から攻撃を受けた場合、日本が指をくわえたままということはあり得ないし、あってはいけない。

日本がパシフィストとして戦後ずっと歩んできたのは理解している。だが同盟国の兵士が攻撃を受けて負傷し、それに応戦しないという考え方は不条理である。

この問題を日米両国の関係者ではなく、第3国の人間に問うた時、日本の立場を理解する人はほとんどいない。先日もインド人、スイス人、オランダ人に訊いた。

「なんで集団的自衛権を認めないのか理解できない。同盟国を助けないという選択肢はないでしょう」

多くの日本人は集団的自衛権を認めると、アメリカの戦争に巻き込まれるかもしれないと危惧する。日本は独立国家である。アメリカの言うことにいつも頷く必要はないし、日本が自分たちの利害にかなった判断をすればいいのである。いや、そうしなくてはいけない。(敬称略)