世界は(やはり)広い

人の日常というのは、かなり限定された枠の中で終始する(ほとんどの場合)。

それは世界中のどこに行っても似たり寄ったりで、枠から飛びでることが小さな冒険であったりする。

小学校や中学校に通っている時は、自宅と学校の往復でほとんどの日々が終わる。生徒たちの世界というのは、その小さな枠の中で完結している。塾に行ったり、習い事のためにバスや電車に乗ることはあっても、それ以上の世界を体験することは稀である。

歳を重ねるにしたがって、その枠が広がっていく。枠というより、殻を破って違う世界へ飛び込んでいくということかもしれないが、それでも多くの人は限定された枠の中で生活する。 

自宅と勤め先の往復という生活に、むしろ安心感を覚えたりする。それが日常というものなのだろう。

想像や思索をめぐらせることは自由である。それによって枠を飛び出すことは可能だが、普通の考えではあり得ないようなことが違う文化圏で起きたりするのであ然とさせられることがある。

先月、アメリカのフロリダ州でとんでもない事件が起きた。本当に仰天の内容で、あらためて世界の広さを感じるのである。

同州北部にセント・オーガスチンという都市がある。大西洋に面した静かな所だ。そこに住んでいる62歳の女の行動(犯罪)は、ほとんど想像の枠を越えていた。というより、久しぶりにアメリカらしい豪快な事件と呼んでもいいかもしれない。

その女は隣人が大嫌いだった。喧嘩が絶えなかったし、顔をみるのも嫌だったらしい。世界中で同じ境遇の人は数え切れないほどいるだろう。

誰もが考えるのは、隣人へのいたずらか、嫌がらせである。本当に耐えられない場合は、自分が引っ越すというオプションもあるし、最悪の場合は死傷事件に発展するかもしれない。

女は何をしたか。

隣人(1人住まい)が外出したのを確認後、建設会社に電話をした。

「至急、ブルドーザーを手配できますか。実は簡易住宅(隣家)を所有しているんですが、すぐに取り壊したいんです。今は誰も住んでいません」

小さな家だったので、数時間で全壊したという。仰天したのは帰宅した隣人である。声もでなかった、、、に違いない。

女はすぐに逮捕・拘留されたが、数日後に保釈金1万ドル(約101万円)を支払って自宅に戻った。

気持ちいいくらいの犯罪で、といっても裁判でもめるのはこれからである。