どこまでが天性なのか

「笑っていいとも」が終わった。タモリにかなりの愛着を抱いていたので、番組が終わることに強い寂寥感を抱く。

昨晩、同番組のフィナーレとして多くのお笑い芸人やタレントが顔を揃えていた。タモリも含めて、さんまやダウンタウン、ナイティナイン、爆笑問題など現在の日本のお笑い界を代表する面々が一堂に会していた。

そこでふと思ったのは、彼らと他のお笑いタレントたちとの違いである。いわゆる芸人と呼べる人たちは何百、何千という単位でテレビに現れ、すでに去ってしまった人たちも多い。

熟考して練り上げたネタが面白いのは当たり前である。だが、彼らの強さは即興で笑いを創造できる資質にある。それを天性と呼んでいいのかはわからない。

瞬時にして視聴者に笑いを運べる言葉を切りとってくる瞬発力は天質といえるものだ。しかもテレビカメラの前でそれが発揮できなくてはいけない。

人を笑わせる言葉は、降ってくるものだと思う。それはたぶん練習や努力で獲得できるものではない。どこからか脳内にわいてくる。「瞬間芸」とさえ言える。

もちろん私にはこの能力がない。少しだけテレビにレギュラーで出ていたことがあるが、真面目なことしか言えなかった。ニュース番組なので当然かもしれないが、何も降りてこなかった。テレビには向いていないことを悟る。

けれども私の周囲に数人だけ、この天質を携えている人がいる。

「降りてきちゃうんだから、しょうがない」

絶え間のない爆笑の嵐がおきていることは言うまでもない。努力をした形跡はない。

本来ならば吉本興業か松竹芸能あたりに入るべきなのだろうが、普段は緻密さと繊細さが要求される仕事に就いている。それもまた人生である。

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