ロムニー、ほとんどバウンスせず

このタイトルですぐに意味が分かった方はアメリカ大統領選にかなり通じている。

クイズのような書き出しで申し訳ないが、先週フロリダ州タンパで行われた共和党大会でミット・ロムニーが党の正式な候補になり、アメリカの主要メデイアだけでなく世界中のメディアが報道した。

党大会は4年に1度行われる政治ショーで、祭りとしての要素が大きい。「綱領」という、政権を担った時の党の指針を発表すると同時に、正副大統領候補も指名されるので、祭りの要素を感じらるようには思えない。

だが会場にはロックミュージシャンが何人も招待されて音楽がガンガン鳴り響く。さらに日本のメディアにはほとんど報道されないが、俳優などの著名人が続々と登壇して会場をわかせる。日本で報道されたのはクリント・イーストウッドの演説くらいだろうか。

しかも数千人の共和党員が全米から集まるので、前夜からタンパ市内ではいたるところでパーティが開かれ、愉しいイベントに参加するかのようだ。今回は取材していないのに何故わかるかというと、1992年から何度も党大会に足を運び、過去20年両党ともほとんど同じスタイルなのを知っているからだ。

そろそろタイトルの「ほとんどバウンスせず」の意味をご説明したい。過去の党大会をみると、通常は全米中から注目を集めたので、候補たちの支持率は「はずみ(バウンス)」がついて上昇してきた。だが、ロムニーの支持率に大きな変化は見られない。

9月2日発表のギャラップ調査では、いまだにオバマがロムニーを1%リードしていた。92年、クリントンのバウンス率は実に16%。そのまま現職ブッシュを打ち負かした。今日から始まる民主党の党大会で、今度はオバマに注目が集まる。

両者の差はここまでオバマが僅差でリードといった状勢で、ロムニーに目立ったバウンスが見られないので、オバマリードはしばらく変わらないだろう。(敬称略)