アメリカの本音

先日、ある会合でアメリカの政府関係者と話をした。

かなり突っ込んだ話になっても彼はズリシズシリと本音でものを言ってくる。話は普天間からTPPにまで及んだが、こちらが訊きたいことはなんでも答えてくれた。

沖縄の米軍問題については、「日本がもし米軍などいらないという政治決断をするのであれば、それはそれで尊重するしかないから、それでいいんじゃないの」という発言はアメリカ側の本音である。

決断するのは日本であって、「いらないなんて言ったら大変なことになる」と考えるのは日本側の問題である。もちろん日米同盟を破棄するわけではない。同盟関係は強固なままであるが、日本は自分たちの政治判断に責任をもって、やれるところは自衛隊がやるとワシントンに堂々と伝えたらいい。

TPPにしても、日本国内で反対派が叫ぶような意見はアメリカからは出てこない。拙著『勝てるビジネスのヒント』にも書いたが、反対派はアメリカ政府の役人や学者、業界関係者などと話をしていない人がほとんどである。アメリカ側がいったい何を考えているかを「読み解く」くらいしかできておらず、相手の目を見ながら何時間も話をすれば本音はわかる。

TPPでアメリカが日本市場を席巻するという誤解は国内の保守派からうまれた幻想でしかない。アメリカは今、日本に対してむしろ大変な気遣いをしていて、交渉時の言葉使いに気を配っているほどだ。嘘だと思うなら、日本側のTPP交渉者に訊いてみるといい。

国家間のことであっても人間が関与する事象である以上、コミュニケーションがいかに大切かを痛感するのである。