米大統領選:予想どおりの展開

アメリカ大統領選の共和党の戦いは、予想どおり前マサチューセッツ州知事のロムニーが党の代表候補となりそうだ。

日米の主要メディアは前ペンシルバニア州上院議員のサントラムの躍進をしきりに説いたが、「時すでに遅し」というより最初から可能性はなかった(残りカスのサントラム )。

新聞・テレビは大胆な予想はしないし、外せば問題になるので無難な表現しかしない。だが、今年の選挙はスタートからほとんど結果が読めていたという点で、つまらない戦いだった。自慢ではないが、昨夏の時点でロムニー以外の候補に圧倒的な強さはなかった(オバマ対ロムニー )。

「いくらなんでも判断が早過ぎないか」

そう思われる方がいるかもしれない。確かに予備選は6月下旬まで続く。共和党からの指名を受けるためには、各州から代議員数を1144人以上集めないといけない。ロムニーは3月20日時点で560人。ほぼ半数である。

だが2番手につけているサントラムは246人。ギングリッチは141人。ロン・ポールは66人。今後サントラムが指名を受けるためには残りの州で、代議員を4分の3以上も獲得する必要がある。事実上、もう勝負はついてしまった。ギングリッチに至っては残りの9割を獲得しなくてはいけないので、早く撤退した方がいい。

それでも、敗者にもそれぞれの思いがあるのが選挙で、客観的にもう勝ち目がないとわかっていても、すぐに辞める決断はできない。4年前、オバマと戦って負けたマケインは2000年の選挙でもブッシュに負けた。その頃を振り返り言っていた。

「頭では勝てないこととわかっていた。でも周囲の熱烈なサポーターは『行け、行け!』と言うし、自身の心も『まだ行けるかもしれない』との思いがあった」

当事者でなくてはわからない辛さである。(敬称略)