スーパーチューズデーから見えるもの

やはり取材は現場にでてみないとわからない。

全米10州で同日予備選が行われた大統領選のスーパーチューズデー。渡米してTVニュースを観ても、新聞を地元紙からウォールストリート・ジャーナル、USAトゥデイまで眺めても選挙の話でもちきりである。

まして予備選の激戦地と言われたオハイオの州都であれば、選挙で揺れているかと思った。だが、町に取材にでて拍子抜けする。

静かなのである。候補の名前が書かれたサイン(アメリカでは顔写真のポスターは貼らない)はほとんど見られず、候補のボランティアたちは集会にはかり出されるが、町中での目立った活動はない。

アイオワやニューハンプシャーは凄まじいが、オハイオはその他の州の一つのようだ。コロンバスではロムニーの選挙事務所も中心部から離れた場所にあり、1階にもかかわらず道路から判別できないような計らいがなされている。

予備選当日。オハイオ州は午前6時半から投票所が開く。コロンバス市内と郊外の2カ所に足を運んだが、出足が悪い。有権者は喜んで誰に一票入れたかを話してくれるが、CNNやFOXニュースの騒ぎ過ぎと実際の州民との間にはあまりにもかけ離れた温度差がある。

選挙結果は、都市部で票を伸ばしたロムニーがサントラムを押さえて辛くも勝った。選挙区別にみると、ロムニーは08年にオバマが押さえたところを獲っている。ヒラリーは農村部を奪ったが負けた。サントラムはヒラリーの轍を踏んだことになる。

ロムニーはこのまま他州で代議員数を伸ばして共和党の代表候補になる確率が高い。だが候補として、政治家として脆弱である。エリート意識の強さも鼻につく。

何度も書いているが、11月の本選挙で勝てる候補には思えない。(敬称略)