パウル・クレー展

  

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この絵を観て、「あっ、パウル・クレーね」と言える方はかなり絵画に詳しいはずである。

19世紀後半、スイスで生まれたクレーはフランスの印象派の画家たちとは一線を画して、独自の画風を求めつづけた。千代田区の東京国立近代美術館で5月末から開かれていたパウル・クレー展が終わるので、「駆け込み入場」してきた。

具象でも抽象でもない領域に自分のスペースを確立すると同時に、たえず新しい技法に挑戦した芸術家である。描いた絵を物理的に2つに切り、回転させ、そして結合させるといった3次元的な試みをしたり、さらに過去の絵を使うことで4次元的な施しもしている。

それは「1つの場所に立ち止まるな、求め続けろ」というメッセージにも受け取れた。

生前、「アートは見えないものを見えるようにする」と主張していた人らしい作品群に触れて、いい刺激をもらえた。