プレミアム商品の力

「オールド・リップ・ヴァン・ウィンクル(以下ウィンクル)」

この長い名前を読まれてピンときた方はバーボン・ウィスキーに精通されているに違いない。

バーボンでもワイルド・ターキーやメーカーズ・マークなどは日本でも馴染みが深いが、ウィンクルとなると「知る人ぞ知る」銘柄だ。アメリカでも町の酒屋の棚に並んでいることは稀である。

なにしろウィンクルの年間生産量は7000ケースほどだ。適切な比較対象ではないが、ビールのミラー社ミルウォーキー工場が1日に生産する量は約50万ケース。フランスのワイン、ロマネ・コンティが年間6000本ほどなので、量的にはこちらに比類する。

ウィンクルの年間売上は200万ドル(約1億6600万円)ほどでしかない。薄利多売によって大きな利益を出すビジネスモデルの対極に位置するが、家族経営なので十分に採算は取れている。しかも100年以上もこだわりのバーボンを作り続けることで希少価値はさらに高まり、今ではプレミアムがつく。

たとえば15年モノのウィンクルは市場価格が70ドル(約5800円)前後だが、小売店によっては入手の難しさから、いきなり150ドル(約1万2500円)の値がつくこともある。江戸時代から連綿と受け継がれた陶芸に高値がつくのに似ている、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。