ジェラルド・カーティス登場

 コロンビア大学のジェラルド・カーティス名誉教授が6日午前、東京丸の内にある日本外国特派員協会(FCCJ)の記者会見に現れた。もちろん話題は自民党の新総裁になった高市早苗氏のことで、日本のメディアから聞こえてくる内容とは一味違ったコメントを披露した。

「今回の総裁選はこれまででもっとも退屈な選挙だった。というのも誰も挑戦しようという態度ではなかったからだ。これは自民党の危機と言っていいかもしれない。選挙で語られた内容からはモノの本質というものが感じられなかった。自民党はディフェンシブ(守りの態勢)に入っている」

 カーティス教授といえば小泉氏の恩師でもあるので、小泉擁護の立場から高市批判に傾いていた。

「彼女がこれからいったいどういう政策を推し進めてくるのかわからない。先が見えないので、新しいルート(道)を探していく必要がある。日本社会は格差が広がっており、悲観的にならざるを得ない」

いまだ終わらぬウクライナ戦争

ロシアは28日、またしてもウクライナに大規模な攻撃をしかけた。首都キーウにむけてドローン600機とミサイル48発を使って、首都に対してはこれまでで最も長時間にわたる攻撃を行ったのだ。

そもそも2022年2月 にロシアがウクライナに軍事侵攻したのは、国際的に ウクライナ領として 認められていたクリミア半島を奪うことが目的と言われている。あれから3年半が過ぎたが、いまだに戦闘は収まるどころか、拡大の方向にある。

ウクライナは今年3月、米国と高官協議を行って一時停戦の提案を受け入れたはずだったが、戦闘が終わったとの情報は入ってきていない。トランプ大統領は昨年、選挙公約の一つとして「世界各地の戦争を早期に終わらせる」と述べたが、今のところ口先だけの約束にとどまっている。

さまざまな利害が絡み合っていることはわかるが、「戦闘を停止する」ということは本質的にそれほど難しいことではないはずである。一国のトップが決断して軍部に指令を出せばいいことであって、それをしないというのは人間の命をいかに軽視しているかということにつながるかと思う。

こうした負の連鎖が続いていると、「人間は戦うという行為の根源を体内に隠し持っているのだろうか」という疑問が沸きあがってくる。 人間が人間である以上、戦いはなくならないのだろうか。

世界の分極化がより鮮明に

大きな戦争へと発展しないことを祈りたい。

中国の天津市で1日に開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議で、中国の習近平国家主席とインドのナレンドラ・モディ首相、そしてロシアのウラジミール・プーチン大統領は握手をかわして和やかな輪を作った。

共に笑顔を投げかけた様子は動画で世界中に配信されもした。それはまさしく地球の裏側にいるトランプ大統領に対する当てつけのようで、「俺たちこそが世界のリーダー」と言っているかのようでもあった。

それは最近、モスクワが復活を望んでいる「トロイカ体制」の具現化にほかならず、米国だけに世界を主導させるわけにはいかないというメッセージが込められてもいた。事実、習主席は同会議の開会演説で米国をあからさまに批判し、冷戦的思考やブロック的な対立、他国への攻撃に反対する必要があると参加者に訴えた。

国際関係の専門家からは「習主席は明らかに、米国が主導する第二次世界大戦後の国際秩序に挑戦し、中国こそが信頼できる正当な国家であることを示そうとしている」との指摘があり、今後は米国が主導する西側諸国対上海協力機構の対立になっていく可能性が高い。

こうした明確な線引きができてしまった時の憂慮は「いずれは武力による衝突が勃発する可能性」があることだ。いま世界に必要なのはこうした亀裂ではなく融合であって、「オレがオレが」という態度は慎まなくてはいけない。世界大戦などは二度と起きてほしくない。

分断国家が一つになる日はくるのか

トランプ大統領と韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が25日、ホワイトハウスで会談した時、李氏はトランプ氏に懇願するように、一つのお願いをした。

「(世界で)唯一の分断国家となっている朝鮮半島に、平和(統一)を成し遂げてほしい」

隣国である北朝鮮に自分たちがはたらきかけて平和を実現できないことから、米国の力を利用することで達成可能であると期待し、トランプ氏にお願いしたわけである。それはトランプ氏に金正恩総書記 に会って話をまとめてほしいということでもあった。

それを受けてトランプ氏は、「(金総書記には)年内に会いたい」と返答。同氏はすでに過去2回、金氏に会っており、自身の介在によって朝鮮半島の統一が達成できれば将来的にノーベル平和賞もみえてくることから、金氏に会うことはやぶさかではないはずだった。

朝鮮半島の統一という話と、北朝鮮の核・ミサイル開発の凍結(廃棄)という話があるが、トランプ氏は2017年の段階では北朝鮮という国家を崩壊させるべきという考え方を口にしていたほど強硬派だったが、いまはずっとトーンダウンしてより現実的な方向にシフトしている。

パキスタンモデルのように「核兵器を所有しているが使用・売却はさせない」というオプションもあり、いずれにしても核兵器の封じ込めを確約させることが重要で、いい方向に進んでくれることを祈りたい。

ウクライナ戦争への一考察

ウクライナで起きている継続的な紛争は、すぐに終結するとは思えず、いま世界が直面する最も重要な課題のひとつになってきている。表面上はロシア対ウクライナの戦争と思われるが、実は欧州連合(EU)や 北大西洋条約機構 (NATO)、さらに過去のバイデン政権下における西側諸国を巻き込んだより広範な地政学的な紛争と解釈すべきである。

欧米メディアの報道をみていると、民主主義と国家主権のための戦いという描き方をしているが、本当のところはロシアの影響力をいかにして封じ込め、地域的な影響力を弱体化させるかを目的とした代理戦争と受け取れる。当初は、西側諸国が支援する勢力が圧倒するかに見えたが、ロシアの力は予想以上に粘り強く、EUやNATO、米国はロシアの戦略的目標を打破できていない。

紛争の長期化は経済的、さらには人的なコストを増大させることになっているだけでなく、ロシアを弱体化させるという当初の目標はほとんど実現できなくなってきている。西側諸国のアナリストの中には、ロシアに対して早く敗北を認めた方が今後のことを考えた時に現実的には得策だとする者もおり、今後のなりゆきは依然として混沌としている。

バイデン政権は当初、ウクライナ戦争で勝利することによってロシアの地域的影響力を衰退させ、さらにはプーチン政権の交代まで見据えていた可能性があるが、このままでは叶わぬ願望に終わってしまう可能性がある。理想的にはウクライナを含めた同地域に持続可能な平和を実現させることだが、そこに到達するまでには尚も長い道のりが必要となりそうだ。