トランプの心根

「奇襲については、日本より詳しく知っている人がいるというのか?なぜ私に真珠湾(攻撃)について事前に言ってくれなかったのか」

ホワイトハウスで高市早苗首相(以下高市)と会談したトランプ大統領は20日、米国のイラン攻撃が奇襲だった点に触れて、こうおどけてみせた。ともすれば他国の元首には厳しい態度で接することもあるトランプ。しかし、日本の首相に対してはいつも親日的な態度で接している。

私は1990年にワシントンでジャーナリストとして独立して以来、ずっと日米会談を見てきているが、米大統領の態度には篤志(とくし)と呼べる共通する思いやりを感じる。トランプは他国の元首には攻撃的な言動を見せもするが、日本の首相にはいつも米国的な優しさを表すのだ。

外交は人間対人間の関わり合いが基礎になる。いくら外野席で専門家があれこれ捲し立てたとしても、日本への接し方には温かさが滲む。これは日本の歴代首相が米大統領には決して逆らわなかったということに尽きるかと思う。それをホワイトハウス側はよくわかっているのだ。

主義主張を前面に出すよりも、良好な二国間関係を重視して柔軟に接していく方が得策であるということを日本人は知っているのだろうと思う。

米・イスラエル VS イラン(1)

「こういう流れになるかもしれない」という予感はあったが、実際に双方で大規模な軍事攻撃をしかける戦況を眺めると、暗澹とした思いに陥らざるを得ない。

米・イスラエル両国はイランが以前から核兵器やミサイルの開発をしていることを熟知しており、今回の攻撃はその開発を阻止するためというのが理由になっているが、これは新たな戦争の幕開けといっても過言ではない。トランプ大統領(以下敬称略)やイスラエルのネタニヤフ首相は本当にイランを攻撃して、状況が好転すると思っているのだろうか。

今回の軍事攻撃で、最高指導者ハメネイ師が死亡したという情報が流れているが、それでイラン側が「はいわかりました。もう戦いは止めます」という展開にはならないだろう。むしろ流れは逆で、イラン側は自国のトップが殺害されたということで、これまで以上に米国・イスラエルに対する敵対行動を強めてくるはずである。そうなると戦況は拡大し、しばらく3国の戦いは続くと思われる。

トランプは身の危険を感じざるを得なくなるだろう。軍事力を行使するということは負の連鎖が続くということであり、至るところで悲劇を生むということになる。

これまでも書いてきているが、人類の歴史というのはある意味で「戦争の歴史」であり、過去5000年を眺めても戦争は繰り返されてきた。本当になんとかならないのかといつも思うが、人間が「戦いの意識」を持たなくなることはまずないので、諦めざるを得ないか・・・。

ノルウェーがメダルを量産できる理由

連日、TVでミラノ・コルティナ五輪を観ている。オリンピックという場で選手たちが全力を振り絞り、真剣な眼差しで競技に向き合っているのがTV画面から伝わってくる。しかも、世界のトップ選手たちが集っているので、こちらも真剣に見入ってしまう。

15日までに日本が獲得したメダル数は17個。個数だけで言えば、1位のノルウェー(26個)、2位のイタリア(22個)、そして日本は米国と同数の17個で3位。ただ、メディアが使う序列は金メダル数が柱になるので、ここまで金3個の日本は10番目ということになる。

ここで私が疑問に思うのは、人口560万人のノルウェーがなぜ冬季五輪でメダルを量産できるのかということである。人口100万人あたりのメダル獲得数を比較すると、ノルウェーは米国のなんと72倍の効率だという。その基礎にあるのは、子どもの頃からスポーツを楽しむ権利が法的文書で明文化されているからのようだ(Children’s Rights in Sport(子供のスポーツの権利)。

その中には「子供は自分の意見を述べ、自分からスポーツ活動に参加する権利がある」や、「子供は達成感を味わい、多様なスキルを学ぶ権利がある」といった条項があり、国家レベルでスポーツを推進する文化が背景にある。

さらに、さまざまなスポーツを行わせる中で、一定の年齢まで順位をつけたり、競技優先にしたりすることを認めていないという。厳しいトレーニングをスタートさせるのは、子どもたちが自らの意思で競争の世界で戦うことを決めてからになる。日本も他国と比較すると決して劣っているわけではないが、「ノルウェー流」を取り入れることはできるかもしれない。

トランプの新たな訴訟

「懲りない人」というのはまさにトランプ大統領(以下トランプ)のことを言うのだろう。

朝起きてネットで海外ニュースをチェックすると、トランプが米政府を相手どり、100億ドルの損害賠償請求をしたという。100億ドルは今日のレートで約1兆5300億円という大金で、大統領でありながら、米政府からカネを巻き上げようという行状は呆れてものが言えない。

2019年と20年の納税申告書がメディアに公開されたからといって、これだけの巨費を、よくもまあ「しゃあしゃあと」を請求できたものである。一般の人にしてみると、トランプが富裕層の人間で、億万長者であることは誰もが知っており、納税額が明かされたとしてもほとんどの人は驚きもしないだろう。

にもかかわらず、自国政府に対して損害賠償を求めるという行為に、良識のなさを感じざるを得ない。大統領が自国政府から1兆ドル以上の金額を要求するという考え方に、いったい誰が同調できるだろうか・・・。

ウクライナは今後どうなるのか

今朝の国際ニュースをチェックしていると、「ロシアがウクライナ空爆、子どもを含む26人死亡」というタイトルが目に入った。ロシアがウクライナに軍事進攻したのが2022年2月で、3年半以上がたったいまも戦争は終わる気配がない。

ウクライナ戦争についてのニュースは日々入ってくるが、日本ではもう強い関心が示されない。すでに他人事になってしまっており、何人の民間人が死傷しようが、どれだけ広範囲に爆撃されようが、「悲劇という事実」として受け取るだけで、何かをしようという動きにはならない。

遠い国の戦争だからということもあるが、日本人が直接関与するという流れはないし、国際機関に献金したりボランティアをするという人もほとんど見受けられない。もし日本がどこかの国に空爆をうけて、何人もの死傷者がでていたら、まったく違う動きになっていただろう。

実際に他国から空爆を受けて家族や友人が死傷するという状況を想像してみたことがあるだろうか。ウクライナの人たちは惨劇を目の当たりにして絶望しているに違いない。緊迫感のある状況に身をおかないとなかなか実感できないだろうが、地球上には他国からの爆弾で命を奪われ るという悲劇が21世紀のいまになっも起きているのだ。

日本人としてできるウクライナ支援は、日本政府による財政・人道支援から、NGO/NPOへの寄付、そして避難民の受け入れなど少なくない。電力復旧のための機材を供与したり、地雷除去、人道物資(医薬品、毛布など)の提供などもある。当事国だけでなく、関係国が協力して戦争終結への手がかりを探っていかなくてはいけない。