ロシア疑惑(2)

前回のブログ「ロシア疑惑(1)2月24日」では、ロシア疑惑の経緯とこれまで起訴された人物について簡単に記した。

元FBI長官ロバート・ムラーが特別検察官に任命されてからほぼ10カ月。まだ全容解明にはいたっていないし、検察側の切り札はまだ出していない。

昨年12月、私がトランプ政権の主席戦略官だったスティーブ・バノンにインタビューした時、彼はこういうことを口にしていた。

「コミー長官を解任したことは、アメリカの近代政治史上最大のミス」

誇張が込められていることを考慮しても、トランプとしては「やっちまった」感が強い判断だったわけだ。そばにいたバノンが一番そのことを知っている。

コミーはロシア疑惑の捜査に入っていた。トランプとしては、コミーを辞めさせれば捜査が進まないと思ったのだろうが、まったくの逆だったということである。

FBIを含む司法省の人間は反トランプで結束したからだ。人望のあったコミーを無理やり辞めさせたトランプの暴挙は許せないという論理である。

以来、「コミー解任は司法妨害にあたる」というのが、ムラーチームが狙うトランプ起訴の理由のひとつになっている。

昨日、ビル・マーというテレビ司会者がHBOの自身の番組で、オバマ政権時の司法長官エリック・ホールダーにインタビューしていた。私は90年代からマーの番組はよく観ていた。

ホルダーはムラーが司法妨害という線で捜査を進めているはずだと述べた。

「私は過去30年ほどムラーを知っています。彼はいま(司法妨害を立件するために)できる限りのことをしているはずです。もうしばらく待つべきでしょう」

しばらくしたら、「トランプ大統領が起訴されました!!」というニュースが飛び込んでくるかもしれない。

あり得る話なのである。(敬称略)