日馬富士と豪栄道の違い

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横綱になってから半年後の2013年2月。日本外国特派員協会の記者会見で、日馬富士を初めて目にした。

この日、日馬富士は「モンゴルという国を背負っている。僕にはさがる道がない」と言った。魂を込めて相撲をとっているという印象を受けた。いまでも相撲への姿勢は変わっていない。

9月24日の秋場所千秋楽、日馬富士は本割と優勝決定戦で豪栄道と2度対戦し、大関に圧勝した。何かが圧倒的に違っていた。

豪栄道は取組後、「思い切りいこうということだけを考えていた」と述懐したが、国を背負っている横綱と境川部屋や大阪寝屋川市を背負う豪栄道とでは背後にあるものが違いすぎた。

負けないようにくらいのレベルではないのだ。日馬富士は13年の会見で、「自分を信じてね、汗と涙で死ぬ思いでやっています」と絞り出すように述べていた。

そこには今の日本ではあまり聞かれなくなった、本当の意味での「死に物狂い」があるような気がする。そこまでしなくとも、という思いこそが大事なことがあるのだ。

あらためて日馬富士の心意気に痺れた日曜夕方だった。