タクシーの中へ(7)

しばらくご無沙汰していた「タクシーの中へ」シリーズ。

相変わらずタクシーにはよく乗っているが、最近、驚いてひっくり返るような話を運転手さんから聴けていない。饒舌な運転手さんが以前よりも減ったためかどうかはわからない。

今年はアメリカ大統領選がらみで「季節労働者(季節労働者、継続中です)」になっているので、いまだにテレビ局やラジオ局に出入りしている。テレビ番組にゲスト出演した時は、黒塗りの車が自宅と局を往復してくれるが、ラジオ局は基本的に車をだしてくれない。

ただ黒塗りのハイヤーでの移動を「日常だと思ってしまう」ことほど浅はかなことはないので、いくら回数が多くなっても電車にも乗るようにしている。

先日、日本テレビの運転手さんと長い時間、話をする機会があった。軽妙な語り口の方で、運転しながら興味深い話をしてくれた。

「私たちが送り迎えをするのは番組ゲストの先生や政治家、スポーツ選手がほとんどですね」

「芸能人の送迎はしないんですか?」

「ほとんどないです。彼らは事務所の車に乗っていますから。ジャニーズの有名タレントさんたちは1人1台じゃないですかね」

「それじゃあ、普通のタレントさんは」

「タレントさんによりますね。たとえば森〇中のお三方はいまでもタクシーですかね。黒塗りの車は出ないです。タクシーで帰っていただいていると思います」

テレビ局も人を見ているということなのだ。ギャラにしてもそうで、テレビ業界は歴然とした、あからさまな格差社会なのである。