米大統領選:中だるみの季節

共和党レースから前ペンシルバニア州上院議員のリック・サントラムが撤退した。これで11月6日の本選挙はオバマ対ロムニーの戦いになる(再びオバマ対ロムニー )。

予備選はまだカリフォルニア州やニューヨーク州など大州が残っているが、代表候補がほぼ確定したことで有権者の関心は急激にうすれ、残りの予備選は形だけのものになっていく。投票率も10%を切るだろう。

例外的に第3政党や独立候補が登場する余地も残されているが、その可能性は大変低い。

そうなるとメディアの関心も夏の党大会(共和党は8月27日から、民主党は9月3日から)が開催されるまで低下し、大統領選は中だるみの季節へと突入していく。

インターネットの時代でありながら、この悠長さはいったいどうしたことだろう。200年前であれば、ネットどころかテレビもラジオもなかったので、長い時間をかけて候補の考え方や人物を知るために長期間の選挙期間は価値があった。

だが、光の速度で動く時代に昔ながらのペースは合わない。いまはネットでありあまるほどの情報も入手できる。3ヵ月もあれば候補を知り、討論会を何度か開いて政治家としての力量を計ることができる。期間を限定すれば選挙資金も少なくてすむ。

アメリカは「革新」が好きな国だが、大統領を選ぶプロセスだけは改革されないままだ。実際は、政治学者が数え切れないくらい改革案を提示し、議員が法案を提出しているが、法律を修正するまでにはいたっていない。

今後、オバマとロムニーの政策の違いを少しずつ記していきたい。(敬称略)

春爛漫

  april2012hibiyapark.JPG

                          

昨日、タクシーに乗った時に運転手さんに訊いてみた。

「走りながらいろいろな桜を観ていると思いますが、『ここは綺麗だね』というお勧めの場所はありますか」

「どこも綺麗だよ」

「ン、、、ここは穴場といえるようなところは、、、」

「みんな綺麗!」

失礼しました。

写真の桜は日比谷公園、、、、わかります?

北朝鮮の花火

アメリカ連邦上院外交委員会の東アジア太平洋小委員長のジム・ウェブが5日午後、東京の日本外国特派員協会で記者会見を行った。

                    

 dsc00440.JPG

                       

「北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した場合、明らかに国連安保理決議に違反する行為だ。ただ、北朝鮮政府は透明性というものをまったく持たないので、交渉を開始することすらできない。しかも彼らがいったい何を考えているかさえも探れない状態が続いている」

公の席ではほとんど諦めの境地といえる発言である。実際に、アメリカをはじめとする周辺国の韓国や日本がミサイル発射を止めることはできないだろう。国連決議など過去何十年も、特定国の横暴な行為を阻止する効力をほとんど発揮できていない。

イスラエルがイランの核兵器に脅威をいだき、先制攻撃をする可能性を示唆しているが、日本は北朝鮮にその素振りどころか、意気込みさえも見せない。もちろん先制攻撃をしたあとの因果関係を考慮すると、攻撃などしかけない方がいいのだが、精神性という点において、いまの日本人には北朝鮮と戦うオプションは持たない。

仮にミサイル攻撃された場合、国民はどうすべきかの議論すら起こらない。来週にもミサイル発射となる可能性が高いが、傍観者のままだ。

私は上院議員に対し、アメリカの北朝鮮への諜報活動について訊いた。「本当は公表できない内容を抱えているのではないか」という質問だ。

「いまの北朝鮮からは本当に情報がとれない。オペイク(Opaque:くすんでる)!」

昨春、首都ピョンヤンに滞在したが、そのくすんだ部分の中心部が見えたわけでもない。それほど厚いベールに覆われてる。

わかっているのは4月15日が故金日成の生誕100周年で、軍事、経済、政治を強化する「強盛大国」を目指しているということだけだ。あの国に足を踏み入れれば、国民が信奉しているのは金正日でも金正恩でもなく、いまでも金日成であることが分かる。その延長線上にICBMの発射があるのだ。

そう考えると、ミサイル発射は式典を祝うための大がかりな花火というレベルかもしれない。(敬称略)

再びオバマ対ロムニー

アメリカ大統領選は、各州の予備選が着々と進んでいる。

4月3日。ウィスコンシン、メリーランド両州と首都ワシントンの3ヵ所で行われ、前マサチューセッツ州知事ミット・ロムニーがすべてで勝利を収めた。代議員数はすでに600を超えている。

これまでも書いてきた通り、共和党の代表候補はロムニーで決まるだろう(オバマ対ロムニー )。今後はオバマ、ロムニー両陣営が互いをどう攻撃していくかに関心がシフトされる。すでにロムニーは共和党ライバルより、対オバマを意識した発言を増やしている。

いまはまだ前上院議員サントラムや元下院議長ギングリッチがロムニー批判を弱めていないが、今後1ヵ月ほどで共和党はロムニーに候補を一本化することになるだろう。そうなれば、これまでロムニー支持でなかった共和党保守の福音派の人たちも彼を推すことになる。

彼らにしてみれば、「オバマよりはロムニーの方がまだまし」であり、オバマを倒せるかもしれないとの願望がある。

私の予想は昨年からオバマ有利で変わっていない。いや、最近になってオバマ再選の可能性がより高くなっているとの判断だ。(敬称略)

by the  White House

置き去りにされたニュース

仕事がら、毎日世界中のニュースに眼を這わせている。

主要メディアは重要なニュースにしか力点を置かないので、「置き去りにされたニュース」は数知れない。事件という点ではアメリカの多様性と件数が際立つが、残虐性という観点からではメキシコが群を抜いている。

1つには麻薬密売で潤うギャング団が抗争を繰り広げており、その被害が一般市民にもおよんでいるからだ。首が落とされてゴミ箱に捨てられたとか、処刑スタイルで銃殺され、手足を切断されたあとに歩道橋からつり下げられるといった凄惨さが眼につく。

さらに、あるメキシコ人女性が家庭内暴力(DV)を逃れて保護施設に入ると、そこが売春宿だったといった笑い話にもならないニュースさえある。

そうした世界の諸事を眺めると、日本はなんと安全で住みやすい国なのかと思う。あるファーストフード店に入り、レジの前に列ができている。店員が「まず席をお取りください」といって荷物を置くことを促す。

こうした行為を普通の所作として受け入れているのは日本以外にないだろう。多く国では、その荷物を盗んでくださいといっているのと同じだ。

それが平和ボケにつながるという考え方もあるが、日本はその平穏さを誇るべきだと思う。ただ国外に出たときは、「別人」のようになって身を引き締めなくてはいけないが、、、。