a vacation?!

テレビのスイッチを入れると、Uターンラッシュのニュースが流れていた。

今年は昨年より海外に出た人が減って、近場で休みを過ごした人が増えたという。五輪開催中でもあり、自宅で試合観戦を楽しむことにした方もいただろう。

そんな時、アメリカの友人が東京にやってきた。カップルで太平洋を越えてきて、3週間ほど日本で過ごしている。彼らは別に年収数千万円を稼ぐ富裕層ではない。アメリカでは普通の勤め人である。けれども、夏休みに3週間もあてている。

日本でも3週間の夏休みを楽しむ人がいないわけではないが、かなりの少数派である。会社や役所勤めをしている人では珍しい。「3週間はとれない」のが普通である。 ドイツ人やフランス人であれば1カ月でも少ない。

休みに対する価値観が国によって違うことはよく知られることだが、日本人が休みをたくさん必要としていないのかといえばそんなことはない。知り合いに「1カ月くらい休みをとりたいでしょう?」と投げると、「そりゃ休みたいけど先立つものがいるし、勤め先を1カ月も休んでいられない」という。

けれども2つのハードルをクリアすれば、日本人だって多くの人は1カ月の休みをとりたいのだ。別に日本人だけが、世界でも稀なくらいにストイックな国民というわけでもない。休みもとらずに額に汗しながら働くことが美しいとされる美意識が内在することは確かだろうが、21世紀になってどこまでその姿勢が尊ばれるかは疑わしい。

日本人はまた、海外旅行に行ってもそれをあまり吹聴しない。海外に行ったことを周囲にまったく言わない人さえいる。聴く人が嫉妬心を抱くからなのか、行かなかった人の心中を察してのことなのか、 まるで楽しいことはそっと自分の胸にしまっておくキマリがあるかのごとくである。

それだからか、海外のビーチにでても、本当に楽しんでいるように見えないのはどうしたことだろう。感情の発露がないようにも見える。それでいいというなら私はもう何も言わないが、組織が社員や職員に休みをとらせる体制づくりを本気でしていない証拠だろうと思う。

人手が足りないから3日間休みをとるのがせいぜい、というのは休みをとるシステムを本気で構築してないだけである。3人しかいない組織で、普段はてんてこ舞いだが職員にはしっかりと交代で2週間の休みをとらせるところを知っている。

もう少しのんびりと、長い休みをとる習慣が確立されるといいと思うのは私だけではないはずだ。