就職人気企業ランキング

今年もまた大学生が選ぶ就職人気企業のランキングが発表された。選んだのは2027年卒業予定の大学3年生で、人気ナンバーワン企業は8年連続で伊藤忠商事だった。

ランキングの上位にくる企業は売上高、純利益、そして給料もいい企業になるのだが、伊藤忠は純利益と平均年収で商社ランキングのトップ。売上高こそ三菱商事に抜かれているが、安定した業績を維持しており、当然学生を引き寄せる。

ちなみに公表されている伊藤忠の平均年収は 1,805万円で、なかなかの額である。入社後に受け取る初任給は2024年4月時点で大学卒が32万5,000円。民間企業の平均初任給が約22万円なので、10万円もいいことになる。これでは多くの学生が行きたがるのも無理はない。

それだけではない。伊藤忠は大手小売りや多くのアパレルブランドを傘下にもち、他社と違った企業として学生からの信頼も厚い。さらに午後8時以降の残業を原則禁止しており、「朝方勤務」を推奨する企業でもある。ワークライフバランスを重視する学生たちからも高い評価を得ており、「務めるならばここ」という企業に取り上げられている。ランキング2位は味の素、3位東宝、4位任天堂、5位オリエンタルランド、6位大日本印刷、7位集英社、8位JTBグループ、9位Kadokawa、10位Skyとつづいている。

ただ、「本当に自分がやりたい仕事は?」という疑問を投げかけた時に、どれだけの人が商社と答えるだろうか・・・

高齢者の5割以上が「生活苦しい」

人がいくら稼ぎ、いくら貯蓄しているかはいつの時代でも気になることである。当ブログでも何度か書いてきているが、誰がどれほ稼ぎ、どれほど蓄えているかは本質的に関与すべきことではないのだが、メディアに他者の貯蓄額がでてしまうと、どうしても自分と比較してしまう。

私はすでに68歳なので、どうしても高齢者の数字に目がいってしまう。先日、LIMO(くらしとお金の経済メィデア)が発表した65歳以上の家計収支を眺めていると、統計に参加した人の実に55.8%が経済的に「大変苦しい」か「やや苦しい」のカテゴリーに入っており、予想以上に生活が大変であることがわかった。自分の経済状況を「ふつう」と捉えている人は40.1%で、「ややゆとりがある」は3.6%、「大変ゆとりがある」は0.6%に過ぎなかった。

この数字がすべてを表しているとは思わないが、ゆとりがある人の割合がかなり少ないのはいったいどうしたことか。

ただほとんどの高齢世帯で、毎月の平均支出額が年金等で入ってくる金額よりも多いことが多く、毎月2万円台の赤字がでていた。さらに、70歳代の夫婦が保有する貯蓄額の平均値は1923万円だが、中央値は800円で、億万長者が平均値を釣りあげていることがわかる。

毎月2万5000円の赤字が発生している場合、貯蓄額が800万円あったとしても単純計算で26年で使い果たしてしまう。物価の高騰が続けば、それよりも早い時期に貯蓄が底をついてしまう可能性があり、ウカウカしていられないというのが実感である。

「人生、お金がすべてではない」とよく言われるが、やはり「先立つもの」は必要なのである。

「ゆとりがない・・・」

このところ、日本の一般会社員に経済的なゆとりが少なく、「苦しい」という人が少なくない。収入は人によって開きがあるし、経済状況も千差万別だが、厚生労働省が発表した『2024年 国民生活基礎調査』によると、「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」という5段階で、「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた人が58.9%で6割近くに達していることがわかった。

景気のいい話はいろいろな所から耳に入ってくるが、半数以上の人は仕事をしていても「ゆとりがある」といえるほど裕福な生活をおくれていないことがわかる。ちなみに国税庁が発表した『令和5年分 民間給与実態統計調査』によると、単身世帯の金融資産保有額は平均値が871万円で、中央値が100万円という数字だった。

銀行などの金融機関の口座に871万円があれば「まあまあ」と思われるかもしれないが、これは億万長者の人たちが金額をつりあげているためで、やはり100万円という中央値に着目すべきだろう。不動産があり、株の投資をしている人たちは実際にはそれほど多くないのだ。

ちなみに所得についても100万から200万円、200万円から300万円を手にしている人はそれぞれ全体の14%。300万円から400万円が13%で、合わせて41%の人は400万円以下の年間収入であることがわかる。

「貯金なんかできないよ。何とかしてくれ!」という嘆きは冗談でもなんでもなく、多くの人の本音と言えるだろう。

日本経済の行方

今日から日本経済新聞の一面で「分水嶺の景気」というシリーズが始まっている。第一回目は「日本経済『後退』の瀬戸際」という題で、これから日本経済がどういう方向に向かうかが記されている。

日本の景気は他国経済とも連動しているので、米国と貿易戦争に突入すれば、日本経済は低迷することになる。同記事では「緩やかに続いてきた日本経済の回復は分水嶺にある」と、いまが正念場であるという見方だ。財務省内閣府の法人企業景気予測調査では、4月~6月の景気判断は全産業の大企業でマイナス1.9で、5四半期ぶりにマイナスに転じている。ここで踏ん張れば、マイナスからプラスに転じることができるので、「さあ、みなさん頑張りましょう」という内容だ。

解決策の一つとして、メーカーであれば米国国内に生産拠点をつくることが挙げられる。日本から商品を米国に輸出すれば当然関税がかかるため、現地で作って現地で売ることにすれば手っ取り早く無駄をはぶける。ただこれは新しいことでも何でもなんでもなく、何十年も前から多くの企業で実践されてきた。ここで紹介されているのが、「たべっ子どうぶつ」などを製造するギンビス。同社はすでに20カ国に販路をもつ企業だが、今後は米国での生産を視野にいれるという。

さまざまな手を尽くして業績を伸ばしていく努力は多くの企業で行われているだろうが、思いついたことをまず実践してみる作業は貴重である。

堅調な米経済の中で、どちらが大統領になるのか

10月31日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙で、同紙の解説者であるグレッグ・イップ氏が興味深い指摘をしていた。それは今週火曜(5日)の大統領選で選ばれる次期大統領はいまの堅調な米経済を背景に、どちらが選ばれても政策に関係なく、いいスタートを切れるというのだ。過去1年間の米経済の成長率は2.7%で、先進7カ国の中ではもっとも高く、トランプ氏であってもハリス氏でも順風をうけることができ、経済面で大きな心配はいらないとする。

一方、2024年の日本の国内総生産(GDP)の実質成長率は日本経済協力開発機構(OECD)によると、マイナス0.1%になると予想され、主要7カ国(G7)の中では唯一のマイナス成長が見込まれている。少し統計を調べると、G7で経済成長率が1%を超えているのは米国だけである。

米国は生産性の向上によりインフレに陥りにくくなり、財政赤字が続いても体制を維持できるようになり、高い給与水準を保てている。それにより2023年下半期以降、米国の平均賃金の上昇率はインフレ率を上回ることになっている。

そんな時、共和党員と公言する米国人と話す機会があった。彼は「トランプ氏は嫌いだが、トランプ氏に一票を投じる」と矛盾することを言う。どういうことか問うと次のように説明してくれた。

「ハリス氏の経済政策は社会主義的で、けっして褒められるものではない。ギャラップ調査によれば、米国人の52%が4年前よりも自分や家族の生活が苦しくなっていると答えている。良くなったとしたのは39%だけ。バイデン=ハリス政権は多くの無料プログラムを提供して税金を浪費したばかりか、不法移民を含めた多くの移民の流入を許した。個人的にトランプ氏は嫌いだが、ハリス氏よりは何倍もいい」

一人の米有権者の意見でしかないが、皆さまはどうお考えだろうか。