分断国家が一つになる日はくるのか

トランプ大統領と韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が25日、ホワイトハウスで会談した時、李氏はトランプ氏に懇願するように、一つのお願いをした。

「(世界で)唯一の分断国家となっている朝鮮半島に、平和(統一)を成し遂げてほしい」

隣国である北朝鮮に自分たちがはたらきかけて平和を実現できないことから、米国の力を利用することで達成可能であると期待し、トランプ氏にお願いしたわけである。それはトランプ氏に金正恩総書記 に会って話をまとめてほしいということでもあった。

それを受けてトランプ氏は、「(金総書記には)年内に会いたい」と返答。同氏はすでに過去2回、金氏に会っており、自身の介在によって朝鮮半島の統一が達成できれば将来的にノーベル平和賞もみえてくることから、金氏に会うことはやぶさかではないはずだった。

朝鮮半島の統一という話と、北朝鮮の核・ミサイル開発の凍結(廃棄)という話があるが、トランプ氏は2017年の段階では北朝鮮という国家を崩壊させるべきという考え方を口にしていたほど強硬派だったが、いまはずっとトーンダウンしてより現実的な方向にシフトしている。

パキスタンモデルのように「核兵器を所有しているが使用・売却はさせない」というオプションもあり、いずれにしても核兵器の封じ込めを確約させることが重要で、いい方向に進んでくれることを祈りたい。

ウクライナ戦争への一考察

ウクライナで起きている継続的な紛争は、すぐに終結するとは思えず、いま世界が直面する最も重要な課題のひとつになってきている。表面上はロシア対ウクライナの戦争と思われるが、実は欧州連合(EU)や 北大西洋条約機構 (NATO)、さらに過去のバイデン政権下における西側諸国を巻き込んだより広範な地政学的な紛争と解釈すべきである。

欧米メディアの報道をみていると、民主主義と国家主権のための戦いという描き方をしているが、本当のところはロシアの影響力をいかにして封じ込め、地域的な影響力を弱体化させるかを目的とした代理戦争と受け取れる。当初は、西側諸国が支援する勢力が圧倒するかに見えたが、ロシアの力は予想以上に粘り強く、EUやNATO、米国はロシアの戦略的目標を打破できていない。

紛争の長期化は経済的、さらには人的なコストを増大させることになっているだけでなく、ロシアを弱体化させるという当初の目標はほとんど実現できなくなってきている。西側諸国のアナリストの中には、ロシアに対して早く敗北を認めた方が今後のことを考えた時に現実的には得策だとする者もおり、今後のなりゆきは依然として混沌としている。

バイデン政権は当初、ウクライナ戦争で勝利することによってロシアの地域的影響力を衰退させ、さらにはプーチン政権の交代まで見据えていた可能性があるが、このままでは叶わぬ願望に終わってしまう可能性がある。理想的にはウクライナを含めた同地域に持続可能な平和を実現させることだが、そこに到達するまでには尚も長い道のりが必要となりそうだ。

イーロン・マスクの野望

米ステラ社のCEOで、億万長者のイーロン・マスク氏(54)が5日、新党「アメリカ党」を結成すると表明。トランプ大統領は「馬鹿げている」と批判したが、個人的にはマスク氏の野望を興味深く眺めている。

マスク氏は先月、アメリカには「中間層の8割を代表する政党が必要」と述べると同時に、「この国には民主党と共和党の一党独裁に代わる政党が必要」とも発言し、ビジネスの世界だけでなく政界への強い野心を示した。これまでもアメリカには多くの第3政党が登場したが、民主・共和両党を凌駕するだけの力を持ちえなかったばかりか、持続力もなかったため、政界で生き残ってこられなかった。

たとえばセオドア・ルーズベルト氏が率いた革新党は1912年の大統領選で注目を集めたし、1992年にはロス・ペロー氏が改革党を組織して旋風を巻き起こした。また消費者運動家のラルフ・ネーダー氏は緑の党から1996年だけでなく複数回、大統領選に出馬したが、いずれも民主・共和両党を席捲することはできなかった。

その一つの理由が米政治が2大政党制を基礎にした小選挙区制を敷いているため、ほとんどの選挙区において2大政党の有力な候補者に絞られてしまうことが大きい。さらにアメリカの法制度や政治慣行が2大政党制を優遇するようにできているため、結果として第3政党の候補の進出が抑制されてきた。

絶えず新しいモノを受け入れ、それを自分たちのものにしてきたアメリカではあるが、米政界のこうした古びた慣習はなかなか打破できない。そこにマスク氏は風穴を開けようとしているわけだが、同氏の最終的な夢は「大統領になること」だろうから、是非この新風がホワイトハウスに届くところを見てみたいと思う。

トランプ:イランと全面戦争はせず?

日本時間22日、米軍はイラン国内にある3カ所の核施設を空爆したが、 イランが貯蔵していた濃縮ウランは「ほぼ無傷」だったことが、欧州当局者がまとめた初期評価からみえてきた。トランプ政権は当初、イランの核施設に大打撃を与えたつもりでいたが、実際は「ハズレ」だったのだ。

“If Iran wants to fight, that will be the official end of Iran. Never threaten the United States again! “ (イランが(米国との)戦いを望むなら、その時はイランが本当に終わる時だ。だから決して米国を威嚇するな)

上のコメントはトランプ氏が自身のXで述べたものだが、実はこの発言は2019年5月20日に発したものである。第一次トランプ政権時代から、イランに対して敵対的な態度をとってきているが、それだからといってトランプ氏は本気でイランを「終わり」にしようとは思っていないし、行動にも起こしてこなかった。

トランプ氏はイランとの関係を、現体制の存続を前提としていることが6年前から変わっていない。表面的には過激なことも口にするが、全面戦争でイランを「終わり」にしてしまったあとの責任の方が大きくなり、いまのままでというのが本音として透けてみえる。

インド・パキスタンの停戦合意は本当か

インドとパキスタンは10日、これまで続けてきた軍事攻撃を即時停止し、停戦することで合意したという。両国は1947年の第一次印パ戦争以来、繰り返し衝突してきているので、今回の米国による仲介で今後2度と戦火を交えなくなるとは考えにくいが、取り敢えず、トランプ政権による関与で一時的にせよ、停戦にいたったことはないよりかと思う。

ルビオ国務長官とバンス副大統領が、インドのモディ首相やパキスタンのシャイフ首相らと協議して今回の停戦にいたったようだが、トランプ大統領はさも自分が仲裁にあたったかのような態度で、Xで次ようにコメントをだした。

「米国が仲介した長夜の協議の結果、インドとパキスタンが完全かつ即時の停戦に合意したことを発表できることを嬉しく思う。常識と優れた知性を駆使した両国を祝福する。ありがとうございました」

戦争というものがほとんどの一般市民にとっては不幸しかもたらさないということを両政府の政治家たちは知らなくてはいけない。日本であれば、半世紀以上ものあいだ他国と戦火を交えるということは考えられないが、印パ両国民は「ここまで戦い続けた以上、勝つまでは・・・」との思いがあったと思われる。

たとえばパキスタン側の報道を読むと、「インドからの攻撃に対し国民から『弱腰だ』と受け止められないためにも反撃せざるを得なかった」という記述がある。ここに戦争が長期化してきた理由が潜む。弱腰であっても戦争をしない方がどれほど賢明なチョイスであるかを国民にわからせる必要がある。

こうしたメンタリティーをもつ国民に本当の停戦はくるのだろうか?