トランプ政権、ヒッチャカメッチャカ

スタートダッシュをかけたーー。

そんな印象である。トランプ政権の最初の1カ月は大統領令(覚え書きも含める)を23本も乱発し、選挙公約に掲げていた多くの事案にとりかかった。

もちろんとりかかっただけで、行政命令が政府の下部組織にまで伝わって政府内に統制がとれているわけではない。

ワシントンから伝わってくるのは、うまくいっているという言葉よりも混乱である。スタートダッシュはよかったが、すぐに躓いている。

政権の重要機関である国家安全保障会議(NSC)の補佐官クレイグ・ディアが17日、解任された。マイケル・フリンに次いで過去1週間で2人目である。何があったのか。

ディアは先週、ワシントン市内にあるシンクタンクで講演をした時、NSCは機能しておらず、統制がとれていないと発言。スティーブン・バノンやジャレッド・クシュナーの批判も行った。

ウィッドロー・ウィルソン・センターという研究所で、非公開の会合だったが、彼の上司批判はすぐにホワイトハウスに伝わった。そして更迭である。

問題は解任されたことではない。ディアの発言が「たぶん本当のこと」という点だ。

まだスタートして1カ月であるが、ホワイトハウス内は「ヒッチャカメッチャカ」の状態なのだ。特にバノンは安全保障問題の専門家でも、政治学者でも経済学者でもなく、片寄った右翼思想の持ち主であることがもっとも危険である。

そのバノンがNSCの常任メンバーの席に座った。そして統合参謀本部議長のダンフォードが常任から降りている。

トランプがどこまでバノンのいうことに耳を傾けているのか。悪しき国家論を持ち出さないことを祈っている。(敬称略)