宗男の厚顔と検察の圧力

鈴木宗男がいよいよ刑務所に入る。受託収賄と斡旋収賄など4つの罪に問われた。

公判記録を読んでいないし、この件では取材をしていないのでジャーナリストとして事実にもとづいたことは書けないが、現在、ある冤罪事件を追っている。その周辺で弁護士や元裁判官、事件の当事者や関係者に取材を行っている。そして日本の司法全体も考察しているので、その観点から宗男の実刑を考えてみたい。

宗男は昨日、こう言った。

「私自身、賄賂をもらったという認識はありません。密室の取り調べでつくられた調書で誘導された犯罪であることを、最高裁は明らかにしてほしかった」

実はこのコメントに、この刑事事件の性格を表す二つのポイントがある。一つは「認識はありません」であり、もう一つは「調書で誘導された犯罪」というところである。

宗男は「認識はありません」と言ったが、「カネを受け取っていません」とは言わない。建設業者から口利きの礼としてキックバックが宗男のポケットに入っていた事実は否定していない。

賄賂と受け取るかそうでないかの違いは主観的なものであって、不法のカネを受け取った時点で宗男は裁判所の判断通り、収賄の罪に問われなくてはいけない。カネの流れが事実としてあれば収賄罪は成り立つ。

ただ、「調書で誘導された犯罪」というところは、私が取材中の冤罪と重なるところで、検察の作文によって罪が作られるという側面はいまの刑事訴訟が抱える大きな問題点の一つである。

検察が被告人に有利な内容を調書に書かないことは当たり前になっている。検察は被告人を有罪にするためにありとあらゆることをする。それは宗男だけでなく、すべての市民が知らなくてはいけない。

宗男の場合、カネを受け取った事実と、事実にそぐわない調書が作られたという二面から有罪が確定した可能性が高い。

もし宗男の主張するとおり、調書内容が事実と違う場合は不同意にして、戦わなくてはいけない。それは一審の時に尽力しなくてはいけないことで、最高裁に期待することではない。

印象として宗男の収賄罪はほぼ間違いないが、検察の暴走によって調書がさらに宗男不利に作られたといえる。いまの日本の刑事訴訟をみると、自浄作用は期待できない。マスコミはそこを突かなくてはいけない。(敬称略)

なぜオバマは米財界から軽視されるのか

「どこの国も(FTAを)進めているのに、我々だけが遅れをとっている」

このコメントは日本政府役人のものではない。アメリカ商工会議所の幹部の言葉である。

日本のFTA・EPA(経済連携協定)の交渉が遅れていることはすでに他方面で指摘されているが、実はアメリカ国内からも同様の憤懣が漏れている。

アメリカの民主党政権は伝統的に、財界よりも労働組合に加担する政策をとってきた。それが民主党らしさであり、一般労働者の味方という位置付けだった。

けれども、オバマ大統領は政権発足以来、財界とのパイプを太くするため、大企業のCEOをホワイトハウスに呼び、ラウンドテーブルや財界の評議会などを通じて積極的に彼らの声に耳を傾けてきた。

だが、財界人たちのオバマ政権に対する不満は静まるどころか、さらなる高まりを見せている。それは6月、ワシントンにある「ビジネス・ラウンドテーブル」という経済団体がホワイトハウスのOMB(行政管理予算局)に提出した54頁の「これだけはやってくれ」という要望書を見ただけでもわかる、、、、、(続きは9月6日スタートの有料メルマガでどうぞ)。 

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