讃岐うどんの世界

高松に来てからうどんを食べに食べている。

今さらここで讃岐うどんについて述べる必要はないだろう。すでに全国区になって久しい。ただ香川県人のうどんへのこだわりは、日本一どころか世界一という自負を町中から感じる。

それは町を歩くだけでよく理解できる。メインの商店街だけでなく、脇道に逸れても、住宅街を歩いても、畑の中をいっても、大胆に、ひっそりとうどん屋がある。

地元の人からある製麺所を教えられた。自分でうどん玉を湯がき、出汁を器に注いでねぎと天かすを乗せ、立ったままかき込む。期待が高すぎたせいで、飛び上がるほどではなかったが、2玉があっという間に消えた。

取材の合間に、「この先の米屋でうどんを出しているから行ってみろ」といわれ、ぶっかけを食した。そして別の店ではちくわ天を乗せた。

どの店も最初に噛んだときのこしと舌から喉に流れる感触が少しずつ違う。微妙な違いではあるが、店の「らしさ」がある。出汁にも差異があり、同じ讃岐のうどんでも幅があることがわかる。

来てみないとわからない地元ならではの味である。それを香川の人は「普通」と受け取る。そこにすごさがある。