未知なるフード

それにしても、食べるものは奥が深いと思う。

外国特派員協会で机を並べて仕事をしているドイツ人記者が、先週末自宅でのクリスマスパーティーに招いてくれた。彼が作ったドイツ料理はブレーメン風ということだったが、メインの鶏料理とグリューワイン(ホットワイン)は生まれて初めて味わうものだった。

特にグリューワインはクリスマスシーズンだけだという。赤ワインを鍋にいれて火にかけ、オレンジを絞り、シナモンなどの香辛料を加え、さらにラム酒をいれる。サングリアのホットバージョンである。

              

ドイツだけでなく、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国ではこの時期によく飲まれるという。知らなかった。パーティーに来ていたイギリス人は「イギリスでも飲む」と言った。英語ではMulled Wineという。

けれども、アメリカではほとんど見かけない。私が出会ったことがないだけかもしれないが、25年間のアメリカ生活で暖かいワインを飲んだ記憶はない。この時期であれば、やはりエッグノッグである。

パーティーでは食べものにも話がおよんだ。中国人もいて「日本には餃子がない」と驚くことをいう。

日本の餃子と中国の餃子が違うことはすでによく知られている。日本では焼き餃子が一般的だが、中国で餃子といえば水餃子ある。それはずいぶん前から知っていた。

でもその女性はその違いだけでなく、中国では皮が薄いものを餃子とは呼ばないといった。確かに中国でたべる餃子はどれも皮が厚い。それはそれでおいしいが、日本ではむしろ皮が薄いほうがおいしいとされているように思う。

国だけでなく土地が変わるだけでオリジナルから派生した別バージョンの代物が登場するのが文化の特質であり、面白さである。だから、食べものの好みは捉えられないくらいに広い。

しかし、違ったものがある以上、私はオリジナルとそのほかのバージョーンをすべて味わってみたいと思う。

NYのツリー

ロックフェラーセンターのクリスマスツリー写真が友人から送られてきました。今年はコネチカット州から切り出されてきた樹齢60年の木だそうです。 

             NYtress

by Ryoichi Miura

気温のナゾ、再び

クライメイトゲート。

11月9日のブログに「気温のナゾ」というタイトルで、地球温暖化の原因についての疑問を投げた。すると偶然にも、同月20日、イギリスで温暖化のデータが人為的に歪められていた可能性があるという報道がでた。

欧米ではいまそれを「クライメイトゲート(Climategate)」事件と呼んでいる。 ただ、日本国内の主要メディアがほとんど取り上げていない。国外メディアがあつかう記事を国内の報道機関が報道しないことはよくあるが、これもその一つ。

発信元となったイギリスではBBCはもちろん、保守系新聞のタイムズ、アメリカではニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルといった主要紙も報道している。十分に疑問符を打つべきテーマであるにもかかわらず、日本が無視している理由がよく理解できない。

事件のあらましは、11月17日、イギリスのイースト・アングリア大学の気候調査部(CRU)のコンピューター・サーバーにハッカーが入り込み、1000以上の電子メールと地球温暖化にかんする3000以上のファイルにアクセスされ、公開されてしまったというものだ。

その中に、60年代以降、気温の上昇がそれほど見られなかった時期のデータは使うなという記述や、気温上昇について否定的なデータや懐疑的な内容の電子メールがあり、それを削除すべきということも書かれていたという。

温暖化については、人間が二酸化炭素を排出していることは事実であるし、削減努力をすることは必要だが、同時に温暖化の真実が何なのかも総合的に追及すべきである。

妥協したくないもの

誰しもがいくつかのこだわりをもっているかと思う。自分の流儀というものだ。

そこまで大げさでなくても、飛行機に乗るなら日航ではなくANAにしているとか、シャンプーであれば資生堂ではなくロクシタンに決めているといったものだ。私はどちらでもいい。

食べものについても多くの人がこだわりを持つ。こだわりというより「自分の好きなモノ」と書いたほうがいいかもしれない。論理的なことにとらわれず、好き嫌いで決められるのでスッキリする。

私は食べ物にたいへん興味があるので、日本にいても外国に行ってもできるだけいろいろなものを食べるようにしている。ただひとつだけ、妥協しないモノがある。

鮨である。

そのほかの食べ物はファーストフードでも屋台でも、その場に応じてなんでも食べるが、鮨だけはおいしい店にしかいかないことにしている。たまに例外はあるが、、、、。

おいしいという言葉はひじょうにあいまいだが、自分の中の基準を満たす店だけということである。これは自分で決めている「ちょっとした贅沢」である。

だから回転ずしにはいかない。お腹がへっていて目の前に回転ずししかないような時でも、いや、そういう時だからこそ回転ずしには入らない。それならコンビニに入っておにぎりを食べる。

接待で鮨屋にいくこともあるが、気分的においしさが半減すると同時に満足度も下がるので、自分でいく。日本全国にどれくらい鮨屋があるか知らないが、私の基準の「ウマーイ!」水域に入ってくるのは30店前後しかないだろうと思う。

もちろんそうした店にネタケースはない。ネタケースは冷蔵庫なので、そこからネタを出してすぐ握っている鮨屋は水域外である。「ウマーイ!」鮨屋は自分のためにシャリを用意してくれ、さらに途中でシャリを差し替える。

会席もすばらしいが、鮨も繊細かつ精緻で、透き通るように美しい食べ物である。それだけにこちらもこだわざるを得ない。

満足のいくまで食べると少々値が張るが、鮨屋にいった時だけは伝票を気にしないようにしている。

最後に、最近気に入っている鮨屋をご紹介しておく。

鰤門(しもん)。銀座5丁目。

      

ウィキペディア

このブログを読んでおられる方ならウィキペディアはご存じだろう。

サンフランシスコに本部を置く同社は2001年、無料の「ネット百科辞典」としてたちあげられた。同社の広報部長が東京に来ていたので19日、お会いした。

たとえば、グーグルで「鳩山由紀夫」と入力すると380万件もの検索結果がでる。そして画面の最初に登場するのがウィキペディアのサイトである。それほどネット百科事典であるウィキペディアは読まれるようになった。

利用者は世界中に何億人もいるが、給与を受け取っているスタッフは34人しかいないことを知った。書き手はすべてボランティアなので原稿料は発生しないからだ。

それでは会社が「ぼろ儲け」しているかと思いきや、そんなことはない。グーグルやヤフーとちがって創業以来、いっさい広告をとらない。

「創業者であるジム・ウェールズ氏の考えなので、今後も広告はとらないでしょう」

しかし会社を運営するためには経費が発生する。彼らはほとんどを献金でまかなっており、ほとんどのユーザーはこの事実を知らない。これは応援しないといけないないと思うことしきりである。というのもひんぱんにネット百科辞典を利用するからで、いままではIT企業らしく莫大な利益がでているものと勝手に思い込んでいた。

今後は他社との提携を視野にいれながら、相変わらず無料でネット百科辞典を提供しつづけるという。

カネに目が眩まない人たちが運営している点でウィキペディアは貴重である。

         

連載:オバマ東京演説「薄い内容」の理由