企業家と政治家

「電車が来るようになってからまだ3日目だよ」

ずんだアイスクリームを出してくれた店主の顔に笑顔はなかった。

宮城県の仙台駅からJR仙石線にのって松島海岸駅まできた。仙石線は仙台と石巻を結ぶ路線だが、日本三景の一つである松島までしか復旧していない。

「でも電車が開通してよかったですね」

「よかねえよ。今、松島にくる観光客なんかいねえ」

震災から3ヵ月近くたって駅前はだいぶ元に戻ったが、まだ混沌の中にある。不通になっている部分を駅員に尋ねると、「復旧のめどはまったくたっていません」とはっきり言う。「夏まで」とか「年末まで」という言葉は聞かれない。

津波で線路が流され、電柱も倒れた。1ヵ所や2ヵ所ではない。さらに「町ごと流されたところもありますから」という。石巻や南三陸、陸前高田など、比較的大きな沿岸都市はメディアの取材対象として取り上げられるが、全滅した小さな町は数知れない。

                  

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野蒜(のびる)という松島海岸駅から6つめの町もその一つだ。すでに線路は錆びていた。駅前にはいくつか外観をとどめた家屋も残るが、そこから海岸までの1キロほどは全滅だった。今は災害援助の自衛隊の隊員しか見当たらない。いまだにガレキの山が残る。

英語で「Dead quiet!」というが、恐ろしいほどに無音である。

個人や地方自治体のレベルでの復興は無理である。国がリーダーシップを取るしかない。だが国会議員は政局に忙殺されて復興に政治力を発揮できていない。復興庁の設立を記した復興基本法案がやっと成立するが、もっとも重要である「スピード」がともなっていない。

政界では菅がいつ辞めるかといったことに多大な関心がさかれ、結局超法規的な政策の実施などなされないまま時間だけが過ぎた。復興モデル都市(試案:東北アップライズ )などのアイデアは試されないまま、まったりした再興になりそうである。

こうした事態であらためて永田町の政治システムがまともに機能していないことがわかる。自分たちで改革することも望めない。1度大統領制に移行して、国のリーダーの公選制を取り入れるべきである。国会議員が国のトップを決めるというシステムをまず脱却させた方がいい。

企業のビジネスモデルという言葉はよく耳にするが、政治モデルもある。時代に合わせてどんどんモデルは変えていくべきであるが、企業家にはできても政治家にはできない。何十年も前に取り入れたことを今でも固執していては企業であれば倒産だ。機能しているものは今後も残せばいいが、していないものは変えるしかない。(敬称略)

アメリカ地方都市に吹くアパレルの風

アメリカの地方都市の活性化が、目を見張るように進んでいる。 

日米の地方都市で共通する問題の一つに「シャッター通り化」がある。指摘するまでもなく、過去何十年も都心部の商店街の衰退が社会問題となり、行政だけでなく民間の独自アイデアで活性化が叫ばれてきた。

日本では、アメリカ発のモータリゼーションなどが起因して、郊外に大型スーパーやシッピングセンターが建設され、都心部の商店街が廃れた。その波は2000年に施行された大規模小売店舗法によってさらに大波となり、駅前の小売店から客足がさ
らに遠のいた町も少なくない。

日本では中小企業庁が「がんばる商店街77選(2006年)」「新・がんばる商店街77選(2009年)」を選定したが、それは結果に対する評価であって、抜本的な活性化策が政府主導で功を奏してきたわけではない。

アメリカの地方都市の活性化とはいったいどういう流れなのか、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

緊急出版!

福島の原発事故についての単行本『原発•放射能クライシス』(リーダーズノート)が出版されます。

  

   

                           

私を含めた何人もの書き手が今回の事故と原発そのものへの疑念を呈しています。ぜひご一読を!

ソーシャルネットワークが変えた消費者行動

単純なようだが、確実にアメリカで変わってきていることがある。

消費者行動である。

過去100年ほど、社会学と経営学の分野で、研究者はいくつもの消費者行動モデルを提唱してきた。それによって消費者がどういった心理でモノを買って廃棄するかのサイクルが定義づけられた。

しかしネットの登場、しかもソーシャルネットワークの多用化によってかつての行動モデルが適用できなくなってきた。ネットの進化が学者の定義・分析のスピードを超えているからである。2011年5月現在、消費者たちはいったい何にもっとも影響を受けているのだろうか。

                                              

        

「スリーF」

コンビニの名前ではない。アメリカの最新消費者動向を表すキーワードである、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。