真実の噂

19日に噂のウワサ という題で、ブログを書いた。

死亡した人の銀行口座がすぐに凍結されることはないと、他界した実父の例を挙げて記した。だが、凍結されることもあることを偶然にも昨夜、ある会合で知らされた。

外国特派員協会での講演会でMCを務めたあと、講演者と話をしていた。その方も最近、お父様を亡くされていた。

「銀行口座はすぐに凍結されました」

なんと、その日書いた私のブログ内容とまったく逆のことが起きていた。だが実父の例も現実に起きている。金融機関によるのか、住んでいる地方自治体によるのか、それとも生前の立場によるのか、他に理由があるのか今日のところは釈然としない。

金融機関に問い合わせればすぐに答えがみつかりそうだが、今日は祝日なので、この件は取材して後日この場でご報告することにする。

噂のウワサ

世の中には怖いものがいくつもある。

身の毛がよだつ怖さもあるが、気をつけないと間違ったことを信じてしまうという怖さもある。その1つが噂の流布である。

誰かが「それらしいこと」を述べると、会話の途中では一つ一つ調べている時間がないので「フーン、そうなんだ」と納得してしまうことが少なくない。数人が話に加わっている時に説得力のある話を聴き、ほぼ全員が「フーン、そんなんだ」となると、これはほとんど定説の域に達してしまう。

最近、2つの噂を耳にしたが、両方ともニセ情報だった。単なる噂のウワサでしかなかった。ただ、両方とも以前から耳にしていたことだけに、いかに確かめることが大切かを思い知るのである。

1つは「中野サンプラザがなくなる」という噂である。

私は出身が東京の中野で、中学校の同期会もサンプラザで行っている。中野駅前に1973年に建設されたホテル、レストラン、コンサートホールなどのを含む複合施設は、数年前から「もう解体されるらしい」という噂がでていた。

そろそろ40周年を迎えるので老朽化には勝てないのかとの思いもあり、そう信じていた。だが「デマ」だった。総務部の人間に問い合わせても、「そんな話はないです」と明言する。

もう1つは誰かが死亡すると、その人の銀行口座がすぐに凍結されるという噂である。この話は以前から何度も耳にしていたし、私自身もそう信じていた。

実は今年1月、父が他界した。区役所に死亡届けを提出しないと荼毘に付す手続きに入れないので、すぐに届けを出す。金融機関はどこからか死亡情報を入手して口座を凍結し、遺族はその口座に手がつけられなくなるという話だ。

まず世話になった葬儀所の社長が「それは違います」と否定した。その次に司法書士も「そんなことはない」と断言した。むしろ「普通は相続の手続きが終わるまで3ヵ月くらいは開けておきます」と説明してくれた。まったくその通りだった。

逆に金融機関に凍結を申し込みに行っても、まだ自動引き落とし分などが終了していないので「凍結できません」と突っ返されてしまった。

これは最近、身近におきた2つの噂にすぎない。他にもいくつもあるだろうが、人生1つずつ不確かな噂をクリアしていかないかぎり、噂のウワサを信じたまま生きていくのだろう、、、トホホである。

アメリカの本音

先日、ある会合でアメリカの政府関係者と話をした。

かなり突っ込んだ話になっても彼はズリシズシリと本音でものを言ってくる。話は普天間からTPPにまで及んだが、こちらが訊きたいことはなんでも答えてくれた。

沖縄の米軍問題については、「日本がもし米軍などいらないという政治決断をするのであれば、それはそれで尊重するしかないから、それでいいんじゃないの」という発言はアメリカ側の本音である。

決断するのは日本であって、「いらないなんて言ったら大変なことになる」と考えるのは日本側の問題である。もちろん日米同盟を破棄するわけではない。同盟関係は強固なままであるが、日本は自分たちの政治判断に責任をもって、やれるところは自衛隊がやるとワシントンに堂々と伝えたらいい。

TPPにしても、日本国内で反対派が叫ぶような意見はアメリカからは出てこない。拙著『勝てるビジネスのヒント』にも書いたが、反対派はアメリカ政府の役人や学者、業界関係者などと話をしていない人がほとんどである。アメリカ側がいったい何を考えているかを「読み解く」くらいしかできておらず、相手の目を見ながら何時間も話をすれば本音はわかる。

TPPでアメリカが日本市場を席巻するという誤解は国内の保守派からうまれた幻想でしかない。アメリカは今、日本に対してむしろ大変な気遣いをしていて、交渉時の言葉使いに気を配っているほどだ。嘘だと思うなら、日本側のTPP交渉者に訊いてみるといい。

国家間のことであっても人間が関与する事象である以上、コミュニケーションがいかに大切かを痛感するのである。

大震災から1年

今朝のフジTVに復興相の平野達男が出演していた。

唖然とさせられたのは、最後に一言というところで「復興のビジョンを作りたいと思います」と発言したことである。

今ごろ「ビジョンを作ります」というのはどういう了見なのだろうか。大震災からすでに1年である。理想を言えば、いくつかのモデル都市の建設が終わっていてもおかしくない(もっとスピードを!)。

私は半年以上被災地に足を踏み入れていないが、現地の映像を観たり情報を見聞きする限り、復興がほとんど進んでいないことは明らかである。1年もたってまだビジョンができ上がっていないというのは、本気で復興に取り組んでいない証左である。

「これが日本なんだ」とは口にしたくない。というのもスピーディーに物事を進めて、改革を成し遂げている民間企業がいくつもあるからだ。ただ中央・地方政府はそうした民間企業に全面委託もできず、いまでは今後5年から10年といった悠長な復興を念頭においている。

瓦礫の撤去から始まり、新しい都市計画、住民の意向、新産業の育成、原発にからむ諸問題などを考慮しなくてはいけないことは十分にわかる。だが山積している問題を強引ともいれる行政力を発揮してテキパキこなす政治家がみあたらない(堕ちていくキングギドラ )。

時間が経てば経つほど超法規的な措置を講じにくくなる。いやもう無理か。となると、下のような理想図は理想のまま終わってしまう。内外からの批判を覚悟で、取りあえず動いてほしかったが既定路線以外のことは受け付けない既存の体制にはがっかりさせられる。(敬称略)