自動車部品大手タカタのエアバッグ問題が最悪の結末へ向かいつつある―。

これが正直な感想である。このところ、タカタ問題が主要メディアで大きく扱われていないため、事態が収束しているかに見えるが、問題は肥大化しているのだ。

読者の方であれば、概要は既知のことかと思うが経緯を簡単に述べたい(米弁護士に寄ってたかって食い物にされるタカタ)。

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by NHTSA

ヒョウ柄のどら焼き

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先月、テレビのニュース番組に呼ばれた時、上のどら焼きを紹介させていただいた。

打ち合わせでスタッフは、「堀田さんのお好きなスイーツを紹介するコーナーがあります。何を紹介するか考えておいてください」と言った。

数日後、ディレクターから電話があり、「洋菓子ではブールミッシュというケーキ店さんのシブースト、和菓子であれば自宅近くの黒松というどら焼き」と返事をした。

「どら焼きは毎日、店の前に列ができています」とつけ加えると、ディレクターは「どら焼きにしましょう」と即答した。1個100円。

店の横を通ると黒砂糖の匂いが漂う。ヒョウ柄のような皮はマシュマロのような弾力がある。ただ行きつけのサンドイッチ屋の店主は言う。

「昔はもっと大きかったし、手焼きだったんだ。中のあんこもたくさん入っていたしな。機械で焼くようになってから味が落ちたよ」

嫉妬がいくぶん入っているようにも思える発言だったが、反論しなかった。午後の早い時間に売れ切れてしまうことも多く、最近はつねに列ができている。

私はいつでも買えると思っているので、列には並ばない。だから、このところ買う機会を逃しており、食べられない日が続いている。

ただ食べないとどうにかなるほどの禁断症状もでないので、相変わらずおあずけ状態がつづいている。

小さな夢

小学6年生の時だった。先生が「将来の夢を絵にしなさい」と皆に告げた。

ほとんどのクラスメートは長い時間をかけずに絵を描きはじめる。私は絵がかなり下手だったこともあり、なかなか描きだせないでいた。というより、「何になりたいか」の答えがでていなかった。

周りの友人たちは宇宙飛行士やスチュワーデスなど、具体的な職業を描きはじめていた。

「どうしよう。本当にわからない」。正直な思いだった。

一流企業の会社員になることが夢ではない。科学者や研究者でもない。植木屋さん、、、でもない。スポーツ選手も無理だろう。何になりたいのか、分からなかった。

授業が半分ほど過ぎたころ、というよりお腹がへりはじめたころ、私は「ホットドッグ屋」を描いていた。自分でもまったく思いがけないことだった。

うまく描けなかったが、一応誰が観てもホットドッグ屋のはずだった。というのも、絵の中にホットドッグというサインを描いたからである。

それから3年ほどして、母親がいきなり東京都中野区の公共施設のなかで喫茶店をはじめることになった。父親は普通に会社員を続けていたので、経済的な理由というより個人的な興味からだった。

高校に入ってから、週末になると店にかり出された。最初は皿洗いをし、ウェイターを経験し、大学に入ったころには調理や店のマネジメントをするまでになっていた。

そこでホットドッグも出していたのである。純粋なホットドッグ屋ではないが、大学時代のある日、自分の机の戸棚からその絵がでてきたのを見て思った。

「クラスの中で一番最初に『夢』を実現したかもしれない」

誇らしくも何ともなかった。実現可能な小さな夢だったからである。

自分でもまったく予期せぬことを描いたつもりのホットドッグ屋の夢が、思いがけないことで現実のものとなっていた。

不思議なもので、その頃にはワシントンでジャーナリストになるという次なる夢が現れており、今にいたるのである。人生、どう転ぶかわからない。

「お疲れさま!」が好きなオバマ

「またやってくれました」

これが正直な気持ちである。何のことかと言うと、オバマが世界に送りだす大使をまたしても論功行賞で選んだのだ。

オバマは2012年選挙で、自分のために選挙資金をたくさん集めてくれた人物を何人も大使として起用している。駐日大使を務めるキャロライン・ケネディもその1人だ。

最近ではハンガリー大使にテレビ番組のプロデューサーをしているコリーン・ベルという女性を任命した。連邦上院は12月2日、52対42で「ベル大使」を承認。ベルはオバマのために200万ドル(約2億3000万円)を集めたと言われている。

さらに同日、連邦上院は50対43でロサンゼルスのコンサルティング会社のトップであるノア・マメットをアルゼンチン大使に承認。マメットは人生で1度もアルゼンチンに足を運んだことがないと素直に認めている。スペイン語もほとんどできないし、彼がアルゼンチンに深い思い入れがあるとの情報もない。それでも上院は2人を承認した。

オバマ政権下ではこれまで、大使の5割以上がこうした形で決められている。政治任用だ。ブッシュ・クリントン両政権時代にも少なからずあったが、政治任用は30%台にとどまっていた。けれども、オバマは「お疲れさま!」的な論功行賞で大使を決めている。

確かに大使に国務省の外交官を使う義務はない。国内外で多くの経験を積んできた財界人や政治家を起用して成功した例は少なくない。だが、個人的なコネでここまで大使を決めていいのか。「これからいろいろ勉強します」では相手国に対して失礼である。

ちなみに、アルゼンチン大使に決まったモメットがオバマのために集金した額は140万ドル(約1億6500万円)だという。

大使はカネで買えるのである。(敬称略)

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by the White House

ヒラリーの心の中

アメリカでは大統領や長官(日本の大臣)を経験すると、退官後は講演だけで十分に食べていける。

たとえばヒラリー・クリントンは、昨年1月に国務長官を辞したあと、講演1回につき最低20万ドル(約2350万円)をポケットに入れている。今年になってからは30万ドルに跳ね上がったとも言われる。

今年3月、ヒラリーはカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で講演をした。ワシントンポスト紙によると、大学側はヒラリーが国務長官を辞めた直後に講演の依頼をし、ほぼ1年たってにようやく実現したという。

大学側はヒラリーの代理人に対し、「教育機関なので講演料は勉強して頂けないか」と打診したらしいが、講演料は「正規料金」のままだった。

しかも、ヒラリーの要求は詳細におよんでいた。講演時、ステージの上に常温の水と切ったレモンを置くこと。控え室には生野菜とフムス(ヒヨコ豆のペースト)を用意するようにとの指示もでていた。それだけではない。ステージの椅子に長方形のクッションを2個を備えてほしいという。さらに予備のクッション2個も控え室に用意してほしいとの依頼だった。

写真撮影の条件等も細部にわたっており、ヒラリーが本当にこれだけ細かい指示をだしているのか、それとも代理人の要求なのか定かではないと大学側も首をかしげたという。

一般的に日本よりも細部への気配りに無頓着なアメリカで、この用意周到さはいったい何なのか。前国務長官という公職にいた人間であったとしても、30万ドルを支払わせた上で、さらに自分の要望をすべて受け入れさせるという性行はいくらアメリカでも強欲と捉えられる。

国務長官として世界中を飛び回り、これ以上ないほどの接待を受け続けるとこうなるのか。

大統領になったとしても年俸は40万ドル。これから彼女に公職は務まるだろうか。(敬称略)

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2013年1月のヒラリー

by the State Department