晩秋の海

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小学生の時に訪れて以来の城ヶ島。

神奈川県三浦半島の南端に位置するその島は18日、静かだった。島の南側には鋭角に刻まれた岩が連なり、人を拒んでいるかにもみえる。

編集関係者を中心にした男女6人での晩秋の遠足。遠くにヨットが浮かんでいた。

トランプの胎動を考える

出馬から4カ月。米大統領候補、ドナルド・トランプは依然として共和党のトップを走る。

9月に行われた討論会のあと、人気に陰りが見えたが(下降しはじめたトランプ )、支持率は高止まりしており、どの候補よりも高率である。

最新の世論調査でも、CNNでは38%で1位、フォックス・ニュースは24%でトップ、CBSニュースでも27%で先頭である。それでもアメリカの政治学者や共和党関係者の多くはトランプが共和党の代表候補になる可能性は少ないとみている。

彼ほど過激な言動を展開し、諸外国を敵にまわしている候補が勝てるわけがないと考えるからだ。それは過去何十年と大統領選を見てきた専門家の経験値からくる判断であり、僭越ながら私もそう読んでいた。ある米政治アナリストは「トランプ旋風はある種のファシズム」とさえ言った。

ただ彼にはエネルギーがみなぎっている。ジェブ・ブッシュに対して「ロー・エネルギー」と言い放ったこととは真逆の真性を携えている。自分に向けられた全批判をプラスにしてしまうほどの勢いが感じられる。それは認めざるを得ない。

そのため、「これまでは彼のような候補は勝てなかったからトランプも勝てない」という専門家の判断は、ことごとく覆される可能性がある。

たとえば、2008年の大統領選でこんなことがあった。今でも鮮明に覚えている。アメリカをよく知る日本人のベテラン・ジャーナリストが、08年夏の段階でも「アメリカ国民は黒人大統領を受け入れる準備ができていない」と言ったのである。

08年春、オバマがヒラリーとの予備選での戦いを制し、民主党の代表候補になった時点で、私はオバマ以外に大統領はないと考えていた。多角的に状況を判断するまでもなく、彼の勢いは共和党候補ジョン・マケインに負けるわけもなかった。

それでもそのジャーナリストはオバマは勝てないと言ったのだ。そこには「オバマに勝ってほしくない」、「黒人は大統領になれない」といった潜在的な思いから脱せられない呪縛にも似たものを感じた。

いま「トランプは勝てない」と述べることは、もしかすると今アメリカで起きていることに目を瞑ることなのかもしれないとも思う。

上院議員や知事といった既存の政治家に対する圧倒的な不信が国民にあるのも確かだ。反体制とポピュリズムがトランプ旋風を加速させる要因になっている。

ジャーナリストとして、いまあるものを冷静に眺めたいと思っている。(敬称略)

米バージニア州リッチモンド郊外に、州立素行更正センターという施設がある。刑務所ではなく、性犯罪を起こした受刑者が刑期満了後に送り込まれる場所だ。定員300人。そこにリジナルド・アーティス(本名)という52歳の男性がいる。

アーティスがなぜ施設にいるかと言えば、23歳の時(1987年)に同じ職場にいた17歳の少年を犯したからだ。彼は同性愛者としての自覚はあったが、87年になるまで誰にも言えず、隠しつづけた(性犯罪者には生き地獄を、米国の恐るべき実態)。

地球上でもっとも幸せな場所-。

米ディズニーランドが長年使っている売り文句である。

しかし、10月5日から利用者の悲痛な声が聞こえてきている。というのも、同社が今年に入って2回目の入場料(チケット料金)値上げを発表したからだ。

ディズニー関連のツイッターにはさまざまな声が寄せられている(なぜ米ディズニーランドは1年に2度も値上げしたのか)。

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Photo courtesy of hdrcreme.com

2ちゃんねる実況

NHKで10月8日に放映されたドキュメンタリー番組『Dr.Mitsuya 世界初のエイズ治療薬を発見した男 満屋裕明』。2ちゃんねるでも同時進行でコメントが多数寄せられた。

番組開始と同時にスレッドがたち、終了までの50分間で約1000本のコメントが入った(Dr.MITSUYA〜世界初のエイズ治療薬を発見した男 1|実況)。

今回の番組内容には「ノーベル賞もの」とか「やっぱアメリカすげーなぁ」、「カッコイイおっさんだな」といった肯定的なコメントが多かったが、劇画が使われたことで「また変なところでアニメだよ。いいかげんにしろよ」とか「妙に自分語りが多い番組」といったさまざまな視聴者の本音が書き込まれた。

それはテレビを観る人たちの飾らない思いであり、社会が本音化した姿でもある(社会を本音化させたインターネット )。

なかには「オシャレな時計やね」と満屋氏の腕時計に感心したコメントもある。視聴者は番組を追いながら、あらゆるところに眼をはわせ、情報を取捨選択している。極めて普通のことだが、ネット社会以前はこうした本音は朧(おぼろ)なままだった。

それがネットによって顕在化され、避けて通れない現実となったことに少しばかりの嫌悪を覚えながらも、最近は「すべて受け入れましょう」という気持ちでいる。