端麗な美

横浜の老舗ホテルで4月30日に行われた結婚式と披露宴ー。

2年ほど前にも結婚式の端麗さについて記した(人の記憶に残す)が、人の記憶に刻み込むという点で、結婚式ほど鮮烈に人のこころを打つものは少ないかもしれない。

しかも若いカップルが親族だけでなく、友人や知人たちと人生の昇華された瞬間を共有するのである。いくつものシーンが参列者のこころの襞に刻印されていく。私は数年たってもこの結婚式を鮮明に想起できるだろうと思う。

逆に言うと、日常のシーンというのは人のこころに残りにくい。結婚式前日のランチを思い出そうと思っても、すでに忘却の彼方に消えている。

結婚式を挙げないカップルも少なくないし、披露宴を挙行しなくても構わないが、人の記憶に残すという点で結婚式ほど意義深いものもないだろう。

お披露目をするということは、カップルとして新たに社会的責任を抱えることであり、人生の新しいチャプター(章)を開くことでもある。新しいチャプターに何を刻んでいくかは2人次第だが、今後の人生の気構えを公の場で示すという意味でも価値がある。

さらに今回思ったのは、結婚式に向き合う2人の真剣さが非日常的だということだ。結婚式は「カタチに過ぎない」という意見もあるが、大勢の前で人生への真剣さを示せる機会は多くない。こうした意味でも結婚式は挙げた方がいいと思う。

ただ、こうした感想を抱くのは私が年齢を積み重ねてきたからかもしれない。実は若いカップルを眺めたときに、純粋に微笑ましく、祝福したい気持ちを抱けるようになったのはそれほど遠い昔のことではないからだ。

人のこころには嫉妬や猜疑が宿る。特に同年代の未婚の男女であれば、友人や知人の結婚を素直に喜べない自分がいたりする。顔で笑いながら、こころには一抹の寂寥感や妬心が湧いたりする。

けれども今回出席した結婚式は、流麗であり端麗な美しさが光っていた。あらためて心から祝福したいと思う。

披露宴㈰

横浜のホテルニューグランドのチャペルにて

強気一点張りトランプが吐いた弱音に、勝負あり!

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(トランプが幼少時に通ったマーブル協同教会)

米大統領選のニューヨーク州予備選(19日)が行われる2日前、ニューヨーク市内にあるプロテスタント系教会を訪れた。マンハッタン59番街と29丁目の角に建つ石造りの教会で、ちょうど日曜の礼拝が終わったところだった。

マーブル協同教会。

17世紀前半にピューリタン(清教徒)がボストン郊外プリマスに上陸して間もない1628年にニューヨークに建てられている。現在の教会は1854年に建設されたものだ。

その日、教会の牧師とある人物について話をすることになっていた(強気一点張りトランプが吐いた弱音に、勝負あり)。

実現するトランプ対ヒラリーの戦い

昨年からアメリカ大統領選の原稿をずいぶん書いている。

今日の予備選結果によって、共和党ドナルド・トランプが代表候補に、民主党ではヒラリー・クリントンが代表候補なることがほぼ決まった。

多くの人はトランプが党代表になることはないと考えていた。考えていたというより、願っていた。今年になってからも、多くの人は「トランプはないでしょう」と言っていた。

私も昨年10月中旬までは、トランプはいずれ消えていく候補だと思っていた。

しかしアメリカで起きている現象を先入観なしで眺めた時、トランプ現象は本物であると悟った(トランプの胎動を考える)。昨年10月19日のことである。

そして11月にアメリカに取材に行った時、「トランプ人気は一過性のものではない」ことを理解した。その時から共和党はトランプが、そして民主党はヒラリー・クリントンが代表候補になると踏んでいた。

トランプが大統領になる可能性もあるが、2人の戦いであればヒラリーが1歩リードしている。それも昨年から変わらないことだ。

いまは7月の党大会が終わってから11月8日の本選挙まで、トランプがどういう攻勢をかけてヒラリーを蹴落としにかかるか、またヒラリーがどう迎え撃つのかが注目される。

これほど熾烈な戦いは滅多にない。歴史に残るであろう決戦となる。

マンハッタンでの整列

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ニューヨーク市マンハッタン56丁目の5番街と6番街に勢ぞろいしたレンタル自転車。

2013年にスタートした自転車のシェアサービスで、当初は6000台からスタート。来年には1万2000台に増える予定で、駐輪場も700カ所。車体にある「シティ・バイク」のシティというのは金融機関「シティグループ」のことで、4100万ドル(約45億円)を市に寄付して始まった。

ニューヨーカーからの評判はまちまちで、年間メンバーシップ料金の150ドルが「高い」という人もいれば、「観光者は使いづらいと思う」という声もある。

それでもニューヨークの街に溶け込みだしていることは間違いない。

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ひさしぶりに見たヒラリーは終始、険しい表情だった。

ニューヨーク州予備選前日の18日午後、マンハッタン6番街にあるヒルトンホテルの3階で、支持者を前にヒラリーは怒りを表した。

怒りはライバル候補バーニー・サンダースからの攻撃に対してであり、トランプの不当な言い分に対してである。サンダースはヒラリーを「Whore(尻軽女)」と言い放ったし、トランプは「ウソつきヒラリー」と呼んだ。

大統領選もずいぶんと下品になったものである。11月8日の本選挙まで半年以上もあるが、今後はどれほど熾烈な戦いになるのだろうか。(敬称略)