(ノーヒント)
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(答:アメリカ、ニューヨーク市セントラルパークからプラザホテルを望む。1988年、トランプは同ホテルを買収。95年に売却している)
アメリカの国務長官ジョン・ケリーが11日、広島の平和記念公園を訪れた。広島でG7(先進7カ国)外相会議があったためで、他の外相と共に慰霊碑への献花を行ったが、広島で会議がなければ足を運んでいなかっただろう。
謝罪の言葉はなかった。戦後71年間、アメリカ政府が取り続けている原爆投下へのスタンスである。ケリーが個人的に謝罪したいと思っていたかはわからない。私人として「すみませんでした」との気持ちがあったとしても、公人としては政府の立場を守らざるをない。
オバマは5月に伊勢志摩で開かれるサミットのあと、広島に立ち寄って核兵器廃絶宣言をするとの情報もある。アメリカの大統領はいまだに広島にも長崎にも訪問していないのでニュースにはなるが、たとえ謝罪したとしても、私は「それで?」という思いでしかない。
実はオバマにはかなり期待していた。2009年1月に大統領に就任してから、本当に「Yes, we can」を形にできる大統領かもしれないと考えていた。しかも核兵器問題については、同年4月のプラハ演説で核兵器廃絶をはっきりと宣言し、それが評価されて同年ノーベル平和賞を受賞している。
けれどもその後の7年間、オバマが積極的に核兵器廃絶に動いたという印象はない。むしろ世界は北朝鮮をはじめとして、核拡散への方向に進みつつある。
オバマはアメリカの大統領である。言葉だけで終わらせずに、目に見えるかたちで核兵器廃絶を前に進めることができたはずだ。少なくとも、多方面で尽力しなくてはいけない。
政治はときに「言葉の格闘技」と言われるが、究極的には何がでたのか、何を成就させたのかが問われないといけない。そういう意味で、政治家は格闘技の試合の最後に「確かな勝利」をものにできないといけない。
5月に広島に数時間だけたち寄り、プラハ演説に似た雄弁な演説をするだけであれば、私は来なくてもいいと思う。謝罪よりも「確かな勝利」を世界中に示さなくてはいけない。それがアメリカ大統領の役割である。
ノーベル平和賞が泣いている。(敬称略)
By the White House
やってくれるものである。
米東部マサチューセッツ州最大の日刊紙「ボストン・グローブ」は4月10日、ドナルド・トランプが大統領になったと仮定したパロディ新聞を発行した。
一面トップのタイトルは「強制送還はじまる」。日付は2017年4月9日(日)。ほぼ1年後、大統領になったトランプが選挙公約どおり不法移民の強制送還をはじめたという内容だ。
日本でこれだけのことをする新聞社があるだろうか。社内だけで楽しむレベルではない。大々的に公表してしまうところが何ともアメリカらしい。
ボストン・グローブの編集者には「トランプを勝たせないために」との意図があったのだろうが、逆効果になっているとも思える。
可視的な将来像を有権者にあたえることで、「トランプならば本当にやるかもしれない」と思わせるからだ。移民局と税関の職員数を3倍にしたという記述もある。
さらに、米国が中国とメキシコと貿易戦争を始めたことで、株式市場は急落するという架空の世界も描かれている。トランプが本当に当選した場合は冗談ではすまなくなる。
今年2月1日から夕刊紙「日刊ゲンダイ」でアメリカ大統領選についての連載をしています(誰が勝つ 「米大統領選」核心リポート)。
最初は連続11日間書いて、その後は随時掲載という変則的なスタイルでいまも継続中です。
これまで24回。11月の本選挙まで続けさせて頂けそうなので、一般紙やテレビでは報道されていない事実や視点を提供していきたいと思っています。