悪太郎に戻ったトランプ

共和党全国大会で党をまとめたはずだったドナルド・トランプだが、モラルの低い言動で再び党内がざわついている。「トランプで共和党は大丈夫なのか」といった空気なのだ。

「決して大丈夫ではないですよ」と言ってやりたい。

イラク戦争で息子をなくしたイスラム教徒のカーンさんという人が、民主党全国大会でトランプに対し「あなたは何も犠牲にしたことがない」と批判した。するとトランプは無慈悲な対応をし、その言動に非難が集中した。

さらに自身の政治集会で乳児が泣いていたところ、「私は赤ちゃん、好きですから」と一時は問題視しなかったが、すぐに「会場の外にだして」と態度を変えた。

また、トランプ支持を打ち出している下院議長のポール・ライアンや上院議員ジョン・マケインを冷たくあしらった。両議員は今年11月が再選で、トランプは返礼として両者への支持表明をすべきところだが、支持しない意向である。

私は連載原稿の中でもテレビやラジオでも「ヒラリー有利」と言い続けており、トランプがトランプでいる限り、ヒラリーを勝たせる結果へと進んでいるように思える。

共和党内の一部からは本選挙を前に、「トランプを他の候補に差し換えられないか」といった声さえ出ている。

11月8日は州の取り合い形式の選挙で、スイングステート(激戦州)のバージニアやオハイオ、フロリダは現在ヒラリーが獲得しそうな勢いだ。ノースカロライナもヒラリーが獲る可能性さえある。そうなるとヒラリーの圧勝が見えてくる。

小池都知事

小池百合子が大方の予想通り、都知事選に圧勝した。

東京は有権者の多くが無党派なので、左寄りの候補に票が集まることもあれば、右寄りの候補が大勝することもある。

選挙結果には、有権者ひとりひとりの思いが反映される。アメリカでも同じである。「ハンサムだから」が一票のきっかけになる。「女性だから」もしかりである。

小池は主要3候補のなかでは未来図への期待がもっとも高かった。自民党を「形だけでも」出て、敵に回して戦ったところに都民は潔さを見いだしたのだろう。

増田は自民・公明の言いなり的な言動が目立ったし、鳥越は行政の長になるスタートラインにも立てていない印象があった。ジャーナリストとしてのかつての爽やかな語り口は失せていた。

3候補とも個人的に多少かかわりがある人たちだったが、知人と呼べるほど親しくはない。

今回の選挙でもっとも驚いたのは、自民党都連が「推薦候補以外を支援した議員(親族等含む)は除名等の処分の対象にする」とした点だ。

自民党の議員が推薦候補に一票を入れることは理解できる。しかし親族は別である。子どもや親は自民党支持者でないこともあるし、違うことを認めないというのは基本的人権の侵害である。

親族だからとの理由で投票行動を強制すること自体に矛盾を感じないといけない。「こんな不条理なことを強制してくる政党の議員には票を入れない」と思うべきである。

気になるのは小池が自民党を「出た」とはいえ、選挙中に「新しい歴史教科書をつくる会」という右翼団体の支援をうけていたことだ。いま話題の右翼団体「日本会議」とも関係が深く、一時的に自民党と表面的な対立の構図を見せても、本質的に右派である点に何ら変化はないということだ。

できれば4,5年先の東京を見据えるだけでなく、50年後、100年後の東京の姿を想起して都知事を務めてほしいと思う。理想論だが、偉大な政治家になろうとしたら、大局的にモノを見なくてはいけないはずである。(敬称略)

トランプ人気が急加速、悪役クルーズ登場が契機に

米大統領選は大手メディアに煽られているーー。

オハイオ州クリーブランドで開かれていた共和党全国大会を取材し終えて抱いた思いである。いきない著者の思いから入って恐縮だが、現地で見聞きしたこととメディアで報道されている内容の違いが目にとまったので報告したい。

党大会前、ドナルド・トランプ候補(以下トランプ)の支持率は不支持率よりもかるかに低く、党内がまとまらずに分裂する危険性もあるとの見方があった。

なにしろトランプは共和党の重鎮から嫌われていた(トランプ人気が急加速、悪役クルーズ登場が契機に)。

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党大会の会場外でプラカードを掲げる反トランプ派

アゴがはずれます

米オハイオ州から帰国しましたが、アメリカの「最強の一撃」と呼べる写真を載せます。

 

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クリーブランドで地元の人に名物料理を訊くと、「スライマンズ(Slyman’s)でしょう」というのでさっそく行ってきました。

コーンビーフ・サンドイッチの専門店です。14ドル。実はアメリカにはこの手のサンドイッチのお店は少なくないですが、オハイオ州ではもっとも豪快なサンドイッチを出す店らしいです。

実は上の写真は片側だけなのです。14ドルで提供される分量は下の写真を観ていただければお分かりになる通り、上の倍の量があります。

眼の前に来て「ヤッター」と思いましたが、完食できるか不安でした。

半分は持ち帰ろうと思って食べ始めましたが、コーンビーフ自体ホットで柔らかいので、消えました・・・。

 

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トランプ党の誕生?

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(私が座っていた場所からの1枚。外国人記者は上の方・・・)

ドナルド・トランプはマキャベリストなのかー。

米オハイオ州の党大会で正式に共和党の代表候補になったトランプ。同党が18日に公表した党綱領(マニュフェスト)を読み込むと、トランプという人物が「目的を達成するためには手段を選ばない」マキャベリストではないかとの思いを抱く。

どういうことなのか。

全58頁の綱領を精読すると、トランプが選挙戦で繰り返しのべてきた公約がほとんど詳述されていないのだ(トランプが現実路線に 党綱領には受けの良い斬新政策なし)。