関心の低い民進党代表選

民進党の不人気が続いている。そんな中で、民進党代表選挙が今月15日に行われる。

参議院議員の蓮舫が有力だが、国民の関心は低い。ヤフーのニュースランキング(国内)では20位にも入ってきていない。TBSラジオのニュースランキングでは項目として民進党代表選を挙げているが、ダントツの最下位。

一般有権者が投票しないことも関心の薄さに関係している。投票するのは全国の党員とサポーター、約24万人である。それにしても、野党第一党の代表選挙に大きな関心が払われないというのはどうしてなのか。

2009年に鳩山政権が誕生したとき、日本にも2大政党制が訪れると期待された時期があった。だが、12年に野田政権が終焉を迎えたときには、民主党は解党といっていいほどちりぢりになってしまった。

民進党が不人気の理由は、こんど政権を担ったら具体的に「こうなります」という図が有権者の方で描けていないからだろう。

描けないのは、民進党が確固としたものを示していないからに他ならない。

「私が代表になることで民進党のイメージを思いっきり変えたい」と蓮舫は言ったが、イメージだけで本体の政党が大きく変わるかは不明だ。

これまでの民進党というのは、「組合(連合)」プラス「風頼み」の票を期待するしかなかったとの印象がある。連合が変わらない限り、民進党も大きく変わらないのではないか。

「解党的な出直し」という言葉を掲げても、国民の無関心は変わらず、民進党が浮上できるキッカケさえつかめていない。

どうすべきなのか、いまの私には読めない。

新しいトランプの伝記

trumpbook9.2.16

アメリカではいま、おびただしい数のドナルド・トランプ関連本が出版されている。ネット通販大手のアマゾンで「ドナルド・トランプ」と検索をかけると、なんと1855冊があらわれる。8月だけでも数十冊が出版された。

その中でも8月23日に出版された『トランプの本性:野望、自我、カネ、権力への欲求(仮訳)』は、ワシントン・ポスト紙の記者2名が20時間以上もトランプ本人にインタビューして書き上げた伝記で、すでに新刊本のベストセラーに入っている(新刊伝記本で暴露されたトランプの「隠された本性」)。

(上の原稿は『日刊ゲンダイ』の連載記事の冒頭部分です。今年2月から始まった大統領選の連載は随時掲載という形で、今回で50本目になりました。11月までは続いて書いていきます)

米国がこっそり戦争に突入、テロ拡散の危険大 オバマ

バラク・オバマ大統領は8月に入ってから、何事もなかったように、アフリカの一国で新しい戦争を始めた。

リビアであるー。

日米メディアは海外ニュースの1つとして「空爆をした」と報道してはいるが、トップニュースの扱いではない。リオ五輪や大統領選にメディアは関心を奪われ、リビア空爆というニュースは注目されていない。

オバマ大統領は国民に向けてリビアで戦争を開始したとの演説も行っていない。8月4日、国防総省(ペンタゴン)に出向いて記者会見を行った時も、シリアとイラクでのIS(イスラム国)の掃討が主な内容で、リビアという言葉は1回しか出さなかった(米国がこっそり戦争に突入、テロ拡散の危険大 オバマ)。

Obama8.31.16

Photo by the White House

トランプは自滅か

アメリカ大統領選をずっと追っているが、8月になって少し拍子抜けしている。

というのも、7月の党大会以後、トランプの劣勢がはっきりしているからだ。私はかなり早い段階からヒラリー有利とさまざまなメディアで述べてきた。ここにきて、トランプの勝てるチャンスは以前よりもさらに少なくなっているように見える。(どういう角度から予測してもヒラリー勝利)。

今朝の米ニュースでは、トランプはヒラリーのことを「bigot(頑固者)」と言って攻撃したが、何の足しにもならない。両者ともに1年以上も選挙戦を行っており、抽象的な言葉による攻撃ではもう誰も耳をかさない。

ヒラリーのメール問題はいまだに尾を引いているが、決定的なダメージにはいたっていないし、今後もならないだろう。ヒラリーへの攻撃はすでに出尽くした感がある。

だがトランプの汚点は少しずつ、新しいことが表面にでてきている。本選挙を2カ月半後に控えて選挙対策本部の人事異動をしたり、不法移民に対する言動が二転三転したり、負債総額が書類上の2倍にあたる約650億円だったりと、マイナス要因が多すぎる。

11月8日の本選挙は総得票数ではなく州ごとの戦いになる。州ごとに集計するということだ。現段階からどう計算してもヒラリーが負けないという答えが出てしまっている。

ここまで断言する人はあまりいないが、全米の州ごとの取り分け図は2008年のオバマ対マケインの戦いに極めて近い。州に割り当てられた選挙人というものを積み重ねていくのだが、総数が538。過半数の270を奪った候補が勝ちとなる。

08年選挙ではオバマが365、マケインは173でオバマの圧勝だった。今年もほぼ同じ州を奪ってヒラリーが勝つ可能性が高い。

9月からトランプとヒラリーによる討論会が3回予定されており、よく「討論会次第だ」という方がいる。だが過去30年も見てきて言えるのは、討論会後の支持率に大きな変化は生まれないということだ。

いまの段階までくると、有権者の9割以上はすでにどちらに票を入れるか決めている。討論会は単に確認の意味で観るだけに過ぎない。たぶん今日投票を行っても、2カ月半後に投票を行っても数字に大きな変化はない。

それがアメリカ大統領選の特徴でもある。

hillary8.26.16

Photo by Pinterest (若かりし頃のヒラリー)

 

ブルブルブルの正体

アメリカから日本にもどってそろそろ10年が経とうとしている。いまでも私が書く記事の8割以上が海外モノで、多くがアメリカがらみである。

いつも世界のニュースに目を這わせている。突発的なニュースが起きた時は、アメリカの報道機関2社から私のスマホに「号外メール」が入るようにしてある。ブルブルブルと1回だけ震える。

リオ五輪が開催されてから、ブルブルブルの回数が増えている。というのも、アメリカ選手が金メダルを獲ったり、世界記録が生まれた時に震えるからである。

ここまで(21日午前10時半)、アメリカは41個の金メダルを手にしているので41回、そして世界新記録が生まれた時の数回、ブルブルブルがきた。

「わかったから、もう止めて」というのが正直な感想である。

報道は近年、純粋な客観報道などありえないという風潮がつよい。偏っていて当たり前との考え方だ。アメリカのテレビでいえばフォックスは保守で、MSNBCはリベラル。政治的スタンスがわかっているから、視聴者も自分好みの局を選ぶ。

ただスポーツ報道については、どの国の報道機関も自国選手を応援する。当たり前と言えば当たり前で、自国選手を無視して他国選手にエールを送ったりしたら苦情の声が絶えないだろう。

この点で、スポーツだけでなく、対外的なことがからむと自国を擁護する報道姿勢がどの国でも鮮明である。だから最初からバイアスがかかっていない客観報道というものは極めて少ない。

リオ五輪もいよいよ閉幕。これでブルブルブルも少なくなる。