財務官僚のシナリオ通りか?

消費税関連法案が26日、衆議院で可決された。

メディアの主な関心は法案の内容よりも今後の政局にある。小沢が離党して新党を作るのか、与党が過半数割れして内閣不信任決議案が可決されるのか、さまざまな憶測が流れている。

政策の議論もされてはいたが十分ではない。私は増税にはマクロ経済の視点から反対だったので、増税の方向に国政が流れていることは残念である。

小沢も増税に反対だったが、彼のこだわりは3年前の総選挙で掲げたマニフェストにある。4年間は消費税を上げない公約を破るべきではないという。それはそれで政治家としての主張は貫いているが、日本経済を上向かせていくことに力点を置かないと単なる「言い分」で終わってしまう。

財務省は消費税を上げたくてしようがない。前財務大臣の野田は財務官僚に言われるがまま、増税することで財政収支が改善できると信じ込まされている。だが今のデフレ状況で、いくら増税しても税収が本当に上がるかは疑問で、むしろ消費が落ち込んで減収ということになりかねない。

消費税が今の5%から2年後に8%、そして3年後に10%になることを手放しで喜ぶ人はいない。ただ本当に増税をしないと年金や医療などが 立ちゆかないと漠然と感じているから「しょうがない」と思うだけで、増税の時期ではない。

デフレ下で景気回復に力を入れる前に増税すれば、デフレが加速していまよりも悲惨な経済状況になることは目に見えている。ノーベル経済学賞をとったクルーグマンだけでなく、多くの学者が指摘している。

野田は財務官僚のシナリオ通りに踊らされた感があり、それを否定するか越えるかするだけの力量を持ち合わせていない。(敬称略)

福島県飯舘村の選択

昨年の震災から1年3ヵ月以上が過ぎて、福島原発事故への関心が薄らいでいる。

全国的に名が知られた飯舘村の村民3名が21日、有楽町の外国特派員協会で記者会見を行った。全村民が避難しているので村には誰も住んでいないが、3名のうち1人は今でも飯舘村にいる。避難しようが村に残ろうが個人の自由なので、そこに大きな問題はない。

今日の会見で気づいた大きな問題点は2つだ。1つは参加した記者がたったの15名だったということだ。ここでの会見は、多い時は300名に達する。

「ニュースとしては小さい」

会見に参加しなかったドイツ人記者が言った。飯舘村だけでなく、いまだに収束していない福島原発への関心が日に日に脆弱になっている。それによって、問題の核心がぼやける結果になっている。メディアが関心を示さなければ、一般市民が原発に問題意識を持ち続けることは困難だ。大勢の市民が動くことが何よりも大切だ。

2つ目は、村民が皆おなじ解決策を追求していないことである。

考えてみれば当たり前だが、賠償だけでは済まない。カネで解決できる部分もあるが、昨年の3.11以前と同じように戻れないことは同村1539世帯すべての住民が知る。

長年住んできた土地に住めない儚さは当事者でない限りわからないだろう。除染は功を奏さず、村民の49%は今後、時間がたっても「村に戻るつもりはない」との気持ちだ。多くの人は新天地を求めている。

一方で、東電と政府は村民へ十分な情報を開示せず、被爆は本来ならば回避できたはずだった。会見で胸中を語った内藤氏は明言した。

「これは犯罪行為」

福島原発事故で刑事罰という形で責任をとった者は政府にも東電にもいない。誰かの手に縄をかけたところで解決はしないが、責任の所在があいまいなまま時間だけが経っている。これでいいわけがない。

大好物の朝食

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その名も「コーンビーフハッシュ」。アメリカの朝食でもっとも好きなメニューである。このところ食べ物ばかりで申し訳ないが、ダイナーというアメリカの定食屋のようなレストランにいくと、必ずこのメニューがある。

コーンビーフに刻んだハッシュドポテトを合わせてある。この日はスクランブルエッグを上に乗せてもらい、ダイナー版のハッシュブラウンも添えてもらった。全部は食べきれなかったが、、、、。

もちろんアメリカ人が毎日こんな食事をしているわけではない。私は渡米した時だけである。

「世界の街角から」の答えです

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ただのハンバーガーに見えますが、中に挟まっているのは牛肉ではなくカニの肉。この「クラブケーキ・サンドイッチ」は前回の「世界の街角から」の写真(左下)に写っている「フィッシュ・マーケット(Fish Market)」というレストランで食べられます。

<答:米バージニア州。ポトマック川沿いのアレキサンドリア市。18世紀にタバコの葉の積み出し港として栄えた町>

森本防衛相誕生!

拓殖大学大学院教授の森本敏が新しい防衛大臣に任命された。

面識はないが、防衛問題のプロとして日本がとるべき防衛政策を着実に現場で執行できる方だろうと思う。現職の田中直紀とでは比較にならない。

私は勉強会で酒を飲み交わす防衛副大臣、渡辺周の起用が妥当と考えていたが、省内事情によりすぐにはトップに就けないらしい。

ただ森本の名前が公表された4日、民主党内部から疑問の声があがった。元首相の鳩山由紀夫は「ミサイルのスイッチを入れる権限を有する方が選挙の洗礼を経ないでよいのかとの議論も出てくる」と発言。「、、、議論も出てくる」というのは、政治家らしい責任転嫁の表現でしかない。

「、、、、洗礼を経ないでよいわけがない」と言明すればいいのだが、そうは言わない。しかも鳩山の言葉である。すでに政治家として終わっている人間の批判に耳を傾ける必要はない。鳩山よりも情けない元防衛相の一川は「あれでいいのかな」と口にする始末。両氏とも自身の政治家としての資質に目をむけるべきだ。

アメリカでもペンタゴンのトップに政治家以外の人がなることはよくある。現在の国防相のパネッタは下院議員やCIA長官を務めたが、前任のゲーツは政治家ではなかった。テキサスのA&M大学の学長を務めた元軍人で、彼の経歴は森本に似ている。

クリントン政権時代のペリーも政治家ではなかった。政治家が必ずしも閣僚になる必要はない。むしろ有能な適任者は外にいると考えた方がいい。

森本には普天間を片付けて頂きたいと思うことしきりである。(敬称略)