関心の低い民進党代表選

民進党の不人気が続いている。そんな中で、民進党代表選挙が今月15日に行われる。

参議院議員の蓮舫が有力だが、国民の関心は低い。ヤフーのニュースランキング(国内)では20位にも入ってきていない。TBSラジオのニュースランキングでは項目として民進党代表選を挙げているが、ダントツの最下位。

一般有権者が投票しないことも関心の薄さに関係している。投票するのは全国の党員とサポーター、約24万人である。それにしても、野党第一党の代表選挙に大きな関心が払われないというのはどうしてなのか。

2009年に鳩山政権が誕生したとき、日本にも2大政党制が訪れると期待された時期があった。だが、12年に野田政権が終焉を迎えたときには、民主党は解党といっていいほどちりぢりになってしまった。

民進党が不人気の理由は、こんど政権を担ったら具体的に「こうなります」という図が有権者の方で描けていないからだろう。

描けないのは、民進党が確固としたものを示していないからに他ならない。

「私が代表になることで民進党のイメージを思いっきり変えたい」と蓮舫は言ったが、イメージだけで本体の政党が大きく変わるかは不明だ。

これまでの民進党というのは、「組合(連合)」プラス「風頼み」の票を期待するしかなかったとの印象がある。連合が変わらない限り、民進党も大きく変わらないのではないか。

「解党的な出直し」という言葉を掲げても、国民の無関心は変わらず、民進党が浮上できるキッカケさえつかめていない。

どうすべきなのか、いまの私には読めない。

小池都知事

小池百合子が大方の予想通り、都知事選に圧勝した。

東京は有権者の多くが無党派なので、左寄りの候補に票が集まることもあれば、右寄りの候補が大勝することもある。

選挙結果には、有権者ひとりひとりの思いが反映される。アメリカでも同じである。「ハンサムだから」が一票のきっかけになる。「女性だから」もしかりである。

小池は主要3候補のなかでは未来図への期待がもっとも高かった。自民党を「形だけでも」出て、敵に回して戦ったところに都民は潔さを見いだしたのだろう。

増田は自民・公明の言いなり的な言動が目立ったし、鳥越は行政の長になるスタートラインにも立てていない印象があった。ジャーナリストとしてのかつての爽やかな語り口は失せていた。

3候補とも個人的に多少かかわりがある人たちだったが、知人と呼べるほど親しくはない。

今回の選挙でもっとも驚いたのは、自民党都連が「推薦候補以外を支援した議員(親族等含む)は除名等の処分の対象にする」とした点だ。

自民党の議員が推薦候補に一票を入れることは理解できる。しかし親族は別である。子どもや親は自民党支持者でないこともあるし、違うことを認めないというのは基本的人権の侵害である。

親族だからとの理由で投票行動を強制すること自体に矛盾を感じないといけない。「こんな不条理なことを強制してくる政党の議員には票を入れない」と思うべきである。

気になるのは小池が自民党を「出た」とはいえ、選挙中に「新しい歴史教科書をつくる会」という右翼団体の支援をうけていたことだ。いま話題の右翼団体「日本会議」とも関係が深く、一時的に自民党と表面的な対立の構図を見せても、本質的に右派である点に何ら変化はないということだ。

できれば4,5年先の東京を見据えるだけでなく、50年後、100年後の東京の姿を想起して都知事を務めてほしいと思う。理想論だが、偉大な政治家になろうとしたら、大局的にモノを見なくてはいけないはずである。(敬称略)

公職選挙法の改正へ

参議院選挙が終わり、今日(14日)は都知事選の公示日。

宇都宮健児が鳥越俊太郎に道を譲ったことで、野党勢力は鳥越で1本化された。ジャーナリストとしてというよりも、人間として信頼できそうな候補だが、知事として適任かと言えば大きな疑問符がつく。

都知事には間違いなく、小国の大統領並の資質と指導力、そしてなによりも行政力が求められる。小池百合子と増田寛也にしても、知事になるための準備期間があまりに短かすぎる。

それは法律の問題である。いまから法改正する時間はないが、近い将来、公職選挙法第5章の「選挙期日」の条項を改正する必要があると考える。

米大統領選は選挙期間が定められていないため長すぎるので、米国と日本の中間として3カ月の選挙期間を設けるというのはいかがだろう。

さらに選挙期間の前に、2カ月の準備期間を設定して選挙対策本部で汗を流す人材の確保や政策を練り込む必要がある。選挙資金も集めなくてはいけない。

先週あたりからメディアに現れた小池、増田、鳥越はどうみても準備不足。というより、舛添要一が辞めてからの時間が短かすぎる。特に鳥越は思いついて手を挙げましたといった風情なので、アップアップしている。

それは資質の問題というよりシステムに欠陥があるからに他ならない。現職の知事が辞職した場合、副知事に5カ月間代行してもらい、5カ月後に投票日を設定する新条項を公職選挙法に加えるべきである。(敬称略)

「根回しがうまくないんですね」

Koikeyuriko7.8.16

7月8日午後2時半。日本外国特派員協会の会見に現れた小池百合子。

「私は根回しがうまくないんです」

防衛相時代、事務次官と喧嘩したことを少しばかり反省してみせた。さらに、自民党都議連の推薦をえないまま都知事選に出馬表明したことに、少しばかりの後悔があるようにも見えた。

考えようによっては、それこそが小池のよさであり、小池らしさかもしれない。

何ものにも媚びず、恐れず、そして立ち向かう。

それがいい結果を生めば申し分ないのだが。(敬称略)

次の知事もダメな理由

舛添が辞任したあと、次の都知事を誰にするのか自民党や野党は悩んでいるという。

「誰にするのか」というニュアンスが新聞でもテレビでも、さらには政党内にも広がっている。知事を選ぶのは都民であって政党ではない。

政党が後押しすることで票が集まるのは間違いないが、まず「知事はお任せください」という諸政策に通じ、リーダーシップがあり、カリスマ性のある候補が現れなくてはいけない。ところが今の都知事選はまるで中学校の生徒会長選挙のように、「頼まれたから出馬します」的な後ろ向きな候補しか見当たらない。

桜井翔の父親の桜井俊は「器ではないと思っています」と出馬を否定した。だがあるニュース番組で元共同通信の後藤謙次は「首相がくどいたらわからない」という言い方をする。

やる気のない人間をくどいて都知事に仕立てあげるスタイルで、真の政治家が生まれるとは思えない。心構えも、知事になるための準備期間も足りないからだ。こういう人を説き伏せてはいけないし、絶対に政治家になってはいけない。

それは首相の選出にも言えることだ。日本では辞任した首相の後任がすぐに決まる。翌日には指名されていたりする。恐ろしいことである。

アメリカ大統領選は長すぎるのがむしろ問題だが、少なくとも1年以上の期間をかけてトップを選ぶ。トランプのような暴言を吐く人間が共和党代表になることもあるが、経歴から資質、体力、指導力など、あらゆる面が試される。

市長や州知事も同じで、長期間の選挙戦を勝ち抜いた候補だけに最後のスポットライトが当たるシステムが確立している。日本も法を改めて、時間をかけてリーダーを選ぶルールにしないといけない。

現在、都知事の下には3人の副知事がおり、都知事不在の期間は彼らが代行を務めればいいだけの話である。首相も同じで、安倍に不測の事態が生じたときには今の副総理である麻生太郎が代行を務め、じっくりと時間をかけて首相を選ぶべきである。

心の準備もできてない人間に、短期間で都知事になれとか首相になれと言うこと自体が無謀である。また同じ過ちを繰り返して、任期なかばに辞任という結末を迎えかねない。

個人的には、次の都知事はビジネスの世界で成功した統率力と管理能力のある人になってほしいと考える。(敬称略)