中東シリアのアサド政権が崩壊してから1カ月がたつ。親子2代でほぼ50年におよぶ独裁政権を築いてきたが、 反政府勢力の攻勢によって首都ダマスカスが陥落。アサド氏は空路でロシア・モスクワに亡命した。
シリアの内戦が始まったのが2011年で、10年以上にわたって反政府勢力と政府側との抗争が続いていた。この内戦により、国内ではこれまで40万人以上が死亡し、550万人以上が国外に難民として流出。今世紀最悪の人道危機といわれた。CIAの「ワールドファクトブック」によると、シリアの人口は約2156万人なので、約4人に1人が難民になった計算になる。
これを日本に置き換えてみると、人口1億2400万人のうち約3100万人が国外に流出するというとんでもない数字になる。誰も自分が生まれ育った国をあとにしたくなかったはずで、ディクテイター(独裁者)が去ったいま、ほとんどの人は祖国に戻りたいと思っていることだろう。
過去1カ月で、国外にでた難民たちが少しずつ母国に戻りはじめている。 国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR)によれば、アサド政権崩壊後、すでに11万5000人がシリアに戻ったという。今年半年で約100万人が帰国するとみられてる。何よりである。