第三次世界大戦は本当か?

12月9日の当欄に「第三次世界大戦はすでに始まっている?」というブログを書いた。 ウクライナのヴァレリー・ザルジニー 元軍事総司令官 が、 「ロシアの独裁的同盟国がウクライナ戦争に直接関与することは、第三次世界大戦が始まったことを意味する 」という言説をもとに記したのだが、内外の情報を見聞きする限り、「すでに開始された」と解釈してもいいほどの状況になってきている。

当事国はロシアとウクライナだが、戦争開始から3年近くがたったいま、紛争地にいる兵士たちから聞こえている言語はロシア語やウクライナ語だけでなく、スペイン語、ネパール語、ヒンディー語、ソマリア語、セルビア語、韓国語などで、すでに地域紛争からグローバルな戦争へと変容しつつある。

ウクライナは「民主主義」を守るために戦っているというが、ロシアは米国の覇権主義や「集団的西側諸国( the collective West )」と戦っていると主張する。モスクワはさらに「多極的世界秩序( multipolar world order )」という言葉を使い、イランからシャヘド・ドローンを提供させるだけでなく、北朝鮮には弾道ミサイルと砲弾だけでなく数千人の兵士を送り込ませている。

さらに、ロシアにとっての最大の味方は中国で、ロシアが必要とする軍事技術だけでなく、西側の制裁からロシア経済を支える重要な役割も果たしている。他方で、モスクワは西側諸国の都市を核攻撃するかもしれないとの見方もあるが、核のボタンを押すことには大きな抵抗があるようだ。

著名な歴史家、セルゲイ・ラドチェンコ氏は「米国にとって、ロシアとの核戦争を回避することがこの紛争での最優先事項だ。二番目に重要なのはウクライナに勝利をもたらすこと」と述べており、当事国だけでなく、周辺国も含めたバランスのとれた安全保障政策が肝要であることは言うまでもない。