米フォーブス誌は10月1日、2024年版の米富豪のランキングを発表した。トップに来たのはテスラ社の最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏(53)で、資産額は5兆4000億ドル(約778兆円)という途方もない額だった。ここで注目したいのはマスク氏の資産ではなく、彼が推す大統領候補である。
すでに報じられているが、マスク氏はカマラ・ハリス氏(民主党)ではなく、ドナルド・トランプ氏を支援している。多額の献金も行っており、11月には何としてもトランプ氏に大統領に返り咲いてほしいと願っている。マスク氏は9月29日に自身のX(旧twitter)で、「(トランプ氏を当選させることが)民主主義を脅かすどころか、民主主義を救う唯一の方法なのだ」と投稿している。
この投稿には少し説明が必要だろう。「民主主義を救う・・」とは、ハリス氏が大統領になれば多数の不法移民が入国することになり、米社会は早晩、収拾がつかなくなって破綻する可能性が高いが、トランプ氏が大統領になれば不法移民の強制送還を強化するので、救われるはずだとの見立てである。
さらにトランプ氏は、当選した場合、マスク氏を新政権で起用すると述べているため、一部の共和党支持者は盛り上がりをみせている。少なくとも全米一の資産家が「トランプ支持」を公言したことで、追随者がでてきても不思議ではない。トランプ氏は政府内に効率化を促進する新しい委員会を起ち上げる予定で、そのトップにマスク氏を充てるつもりだという。
いまだにどちらに投票するか決めかねている有権者にとって、このニュースはトランプ氏の追い風になるだけに、今年の選挙は本当にどちらにころぶかわからない。