昨日(8月26日)から、朝日新聞朝刊の文化欄「人生の贈りもの」でプロ野球解説者で元参議院議員の江本孟紀氏(77)がエッセイの連載を始めている。
江本氏といえば阪神タイガースの投手だった1981年、「ベンチがアホやから野球がでけへん」と発言して野球を辞めたことが真っ先に思い出される。だが、その発言はメディアによって作られたもので、実際には「くそっ。バカッ。何を考えとんねん。このくそベンチ」と言ったと自著で述べている。まあ、ベンチ批判という点では大きな違いはないが、そうしたことも含めて、これからの連載ではいろいろなことが語られそうだ。
私が覚えている江本選手は制球力がよく、球も速く、阪神タイガースのエースだったということで、11年間の現役時代の勝利数は113勝。今日の記事に、「野球は、スーパースターだった長嶋茂雄さんに憧れて始めた」と書かれているが、問題発言で野球を辞めたように、自分自身では何ごとも「全うしないのは子どものころから変わらない」と述べる。
小学校の転校は4校で、中学は2校。「プロもシーズン途中で引退したし、参議院議員も2期目の途中で辞めました」とあり、どんどん次に移っていくのが信条であるかのような人生だ。ただ子どもの頃から運動能力は高かったようで、運動会では一番足が速く、小学校6年時には走り幅跳びで県内記録を更新(高知県)。高校では2年からエースになり、選抜高校野球の出場を決めたが、メンバーが暴力事件を起こして出場停止になってしまう。甲子園の開会式はスタンドで眺め、「自分が行進するはずやったのに」と涙を流しており、「いまだに人生の中でも最大級の挫折」と語る。
まだ連載には記されていないが、野球を辞めたあとに出版した「プロ野球を10倍楽しく見る方法」が100万部以上のベストセラーになり、浮き沈みのある人生を送ることになる。今後の連載が楽しみだ。