誰が91歳5か月なのかーー。
女優の岸恵子さんである。「エッ、もうそんな歳」と思われたかもしれないが、実際は今月92歳になっている。
『91歳5か月』というのは岸さんの最新エッセイのタイトルで、副題に『 いま想うあの人 あのこと 』という言葉がついている。出版されたのは今春なので、すでに本屋に並んで数カ月がたつが、私は今日はじめてこの本の存在を知ったので当欄に書かせていただく。
まずタイトルの斬新さに驚かされた。岸さんの写真が表紙に使われていたので、岸さんが91歳5か月なのだとは思ったが、歳そのものをタイトルにすることの意外性と、実年齢と写真とのギャップにハッとさせられた。出版社をみると幻冬舎とある。やってくれるものである。
「 月日は容赦なく流れ、私は九十歳になってしまった・・・」という書き出しは、岸さんがこれまで出会ってきた多くの著名人について 、そして自身の人生について素直に書き記すであろうことを示唆していて興味がわいた(まだ読んでいない)。
出版社は「 豊饒な孤独を生きる女の人生賛歌、全18話 」と紹介し、 鶴田浩二や石原慎太郎、小田実、瀬戸内寂聴、三國連太郎、美空ひばり、さらに力道山や川端康成といったそうそうたる面々との逸話を紹介している。読み応えがありそうだ。