台風10号が通過したが、到来前に騒がれたほどの破壊力をもたらさなったので、いくぶんか拍子抜けすると同時に、大惨事にいたらずに済んで何よりとの思いが強い。
九州に接近する前は瞬間最大風速「80メートル」という数字もでていたし、多くの方が避難していたので被害を心配していた。停電になった地域は広範囲におよんだが、家屋の倒壊などが広域で起きていないようなので何よりだった。
私はアメリカでハリケーンの取材を何度も経験した。特に1992年のハリケーン・アンドリューはジャーナリストとして独立した2年目の夏で、ハリケーン取材は初めてだったので人生で最も印象に残っている。アメリカの歴史上、「カテゴリー5」に分類されるハリケーンはそれまで3つしかなく、そのうちの1つだった。
直撃されたフロリダ州ホームステッドというところは爆撃を受けたあとのような惨状だった。なにしろ全半壊した家屋は11万超におよび、通過していったところは散乱、錯乱、繚乱といった状態で、どこから手をつけていいのかわからないほど荒れ果てていた。本当に見渡す限り、家屋が暴風で破壊されていたのだ。亡くなった方は65人。
下がその時の写真である。
私には「大型」の台風やハリケーンというと、この時の光景が脳裏に蘇るので、恐れおののくのである。