中間選挙を斬る(2)

「中間選挙を斬る」シリーズの第2回目である。第1回目(7月2日)の最後に「なぜ与党は中間選挙で勝てないのか」と書いた。今回はその点について記したい。

アメリカ連邦議会の現在の与党はトランプの政党である共和党である。11月6日の選挙で、私の読みでは特に下院(定数435)において民主党が過半数を奪う。つまり共和党は負ける可能性が高いということだ。

いくつかの理由がある。今回は最大の理由を述べたい。このシリーズは11月まで続けるつもりなので、今後はマニアックになっていく予定なのでお付き合いいただきたい。

野党(民主党)が勝つ理由のカギは投票率にある。中間選挙は大統領選と違い、投票率が40%に満たないことが多い。大統領選では60%前後あるので大きな違いがある。

いつの時代でも、有権者は中間選挙にシラケ気味だ。大統領を選ぶわけではないので、投票所にいく人が少ない。特にいまでもトランプを支持し、現在の経済状況に大きな不満をもたない共和党支持者は「このままでいい」と考えて投票に行かない傾向がある。

一方、反トランプ派の有権者は、現在の共和党優位の議会の状況だけでも変えようと思って投票にいくため、現政権への反対票として民主党議員に一票を入れることになるのだ。

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上の写真はオハイオ州コロンバス市の投票所で、2014年中間選挙を取材した時のものだ。オハイオ州といえば、共和・民主が拮抗する激戦州であるが、シラケていた。

「盛り下がり」がすごくて町をゆく人は、まるで中間選挙が行われていないかのごとくで、取材をしていてこれほど熱が入らないことも珍しかった。同年の投票率は36.4%。

この年も与党(オバマの民主党)が負けた。(敬称略)

Media appearance

今日の放送メディア出演予定:

 

・7月18日(水)10:25amから テレビ朝日『ワイド!スクランブル

 

今日の出演は過去の映像に、昨晩電話で話をした内容がコラージュされたものです。

ロシア疑惑が新たな展開を見せています。トランプはプーチンとのヘルシンキ会談で、ロシア政府の大統領選関与を否定しましたが、翌日になって「関与はあった」との言い分に変えました。

さらにロシア人のマリア・ブティナという女が16日、スパイ容疑で司法省に逮捕されました。ブティナは2016年大統領選に合わせて、共和党候補(トランプ)に有利になるような工作をしていた疑いがあります。少なくとも外国政府の代理人は司法省に登録しなくてはいけませんが、女は無登録でした。(敬称略)

死刑が消える世界

オウム真理教の麻原彰晃元死刑囚ら7人の死刑が執行された翌週、米アリゾナ州で1人の死刑囚が処刑される予定だった。

「予定だった」と記したのは、スコット・レイモンド・ドジィエ死刑囚(47:以下ドジィエ)は死刑執行を免れたからである。

日本とは違い、本人だけでなくメディアにも7月11日の死刑執行日が事前に告げられていたが、突然11月に延期された。

ドジィエにいったい何があったのか。本件を追いながら、日米の死刑制度の違いや米国の現状を探る(続きは・・・死刑が消える世界、米国もボランティアだけに)。

ジョコビッチはチャンピョンの資格なし!

ウィンブルドンの男子シングルス決勝戦。第3セット中、ノバク・ジョコビッチは騒ぐ観衆に向かって、「Shut the fuck up(黙れ、コノヤロウ)」と発言。

日本の主要メディアは拾っていないが、ウィンブルドンのコート上でこの表現は禁句だ。決して口にしてはいけない言葉。

アメリカの飲み屋でこの言葉を使ったらパンチが飛んでくることを覚悟しなくてはいけない。喧嘩を売っているのに等しい。

映画やテレビドラマではいくらでも使われる表現だが、日常生活で本気で使うべきではない。というより、人間の資質を問われる。

ウィンブルドンのチャンピョンとしての資格なしだ!

djokovic7.16.18

Photo from Pinterest

ロシア疑惑(10)

当ブログでシリーズで書いてきた「ロシア疑惑」。前回書いたのが5月17日で、特別検察官ロバート・ムラーが「トランプを起訴しない」と判断した直後だった。

7月14日(日本時間)になって、司法副長官ロッド・ローゼンスタインがロシア軍の情報当局者12人を起訴したと発表した。トランプの起訴はなくなったが、ロシア政府が2016年の米大統領選に関与していたことを改めて示すことになった。

まだロシア疑惑は終わっていないのだ。

思い出していただきたいが、米司法省は今年2月16日にロシア人13人と3企業を起訴している(ロシア疑惑3)。その時起訴されたのは民間人で、当時プーチンは「ロシア政府は関与していない」と言ったが、今回の逮捕でプーチンの主張は崩れたことになる。

訪欧中のトランプは16日にプーチンと会談する予定で、司法省がトランプに「プーチンを問いただせ」と迫ったことになる。あらためてアメリカの司法省はいい仕事をしていると感心させられる。

ローゼンスタインはいわばトランプ側の人間だが、ムラーを指名してロシア疑惑を捜査させてトランプの関与を洗った。もちろんトランプがロシア政府と絡んで大統領選に関与していたら、トンラプ起訴という流れもあったはずだ。

しかし日本の司法機関が首相安倍にここまで迫れるのか。大きな疑問である。(敬称略)