堀田佳男 Profile
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メタ情報
カテゴリー: Thought for the day,国際政治 ― 2018年12月21日
トランプがまた解雇?ーマティス国防長官

またアメリカの話で恐縮だが、日本時間21日午前、トランプがふたたび閣僚のクビを切った。今度は国防長官ジェームズ・マティスである。

表向きはマティスが辞任を表明したとあるが、ペンタゴンを取材する記者によれば「トランプが解雇したと思って間違いない」という。というのも、「マティスは国防長官をずっと続けたがっていたし、年末も中東を訪問して現地にいる米兵の慰問をする予定でいた。だがその予定をキャンセルした」ことからも、トランプによる解雇である公算が強いという。

トランプは昨日、シリアに駐留する米兵2000人の早期撤退を発表したばかり。さらにアフガニスタンにいる米軍の縮小も検討しており、マティスの考える米軍の展開とは基本構想が違っていた。

マティスはヨーロッパ諸国のリーダーや国防担当の閣僚とも意思の疎通ができていた人だった。トランプのシリアからの米兵撤退は時期尚早というのがマティスだけでなく関係国の認識で、米軍が撤退することで「俺たちを置いてけぼりにするのか」と考える他国兵士やクルド人たちがいた。シリアはまだ平和と呼べる段階に到達していない。

トランプはマティスだけでなく周囲にいる国防担当アドバイザーの話を無視するようにして米軍撤退を決めたという。マティスはトランプの考えに反対したと思われるが、トランプに反対すれば結果は解雇、ということになる。

これがトランプのクリスマス・プレゼントということかー。(敬称略)

カテゴリー: Thought for the day ― 2018年12月20日
自分の声を聴く

ラジオを聴く機会はほとんどないが、先ほど(20日午後6時半頃)仕事が終わってから久しぶりにパソコンでラジコ(http://radiko.jp)をクリック。

私はラジオにも時々出演しているが、オンタイムで自分の声は聴けない。だがラジコを使えば1週間前までの番組を聴くことができる。今週月曜に文化放送に出たので、その時の番組にチューニング。

本当に久しぶりにラジオで流れる自分の声を聴いたが、声が上ずっていた。スタジオで話をすることに緊張感はもうないが、声質がガサツな感じがして落ち着かない。

聴いてくださった方から「声がいい」と言われることもあるが、手で耳を塞ぎたくなり、途中で聴くのをやめた。

ただ月曜のゲストは女芸人「Aマッソ」のお二人で、彼女たちのテンポのいい話が楽しく胸の奥をくすぐられた。「尖った笑い」とも言われる「Aマッソ」。これから放送メディアでどんどん暴れてほしいと思う。

Amasso12.20.18

Photo from Twitter

カテゴリー: Thought for the day,国際政治 ― 2018年12月8日
映画『フロントランナー』

frontrunner12.8.18

 

昨日、ソニー・ピクチャーズの招きで新作映画『フロントランナー』の試写会に行ってきた。

アメリカではすでに公開されている作品で、大統領選のフロントランナーだった候補が出馬を辞退するまでの裏舞台を巧みに描いた実話である。その候補というのは1988年の大統領選に民主党から出馬していたゲイリー・ハートだ。

コロラド州選出の上院議員だったハートは当時、ホワイトハウスに最も近い位置にいた。だが、ドナ・ライスという女性との情事がメディアに暴かれ、ハートは浮気を認めざるを得なくなって選挙から撤退する。映画ではメディアとのやりとりが克明に再現されている。

これまでも女性問題を追及された大統領候補はいた。たとえば92年のビル・クリントンや2016年のドナルド・トランプがそうだ。だが2人とも辞退せずに当選を果たす。ハートとクリントン・トランプではいったい何が違ったのか。

特にトランプの女性問題への対応はハートとは真逆である。認めるどころか、これ以上ないほどの自信を表面的にまとって女性問題を否定し、無視しつづけた。まるで情事など無かったかのように振る舞ったのだ。ハートの失敗から学んだのかもしれない。メディアに弱みを見せてはいけないということを。

ハートは、大統領としては純粋すぎたのかもしれない。時に役者を演じられないとアメリカ大統領は務まらない。その点でトランプは一枚上手だったと言えるのかもしれない。

カテゴリー: Thought for the day,国際事情 ― 2018年12月6日
パパブッシュの思い出

パパブッシュ(ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ)元大統領が亡くなった。

私にとってはたいへん思い出深い大統領である。というのも、ワシントンでフリーのジャーナリストとして独立した年(1990年)の大統領がパパブッシュだったからだ。

ホワイトハウスの記者証を得て、あの白い館に出入りするようになったのもパパブッシュの時代だ。92年の再選時、ビル・クリントンに敗れた時の表情はもの憂げで、手を差し伸べてあげたいほとだった。

彼が再選で負けた理由の1つは、選挙公約を破ったことにある。

「リード・マイ・リップス(言うことを信じて)!増税はしません!」

こう宣言して大統領になったが、増税を実施してひんしゅくを買った。クリントンは選挙期間中、ブッシュが言った上のセリフをテレビCM用に切り取って繰り返し流した。

「こんなウソつきを次の4年も大統領にしていていいんですか」という内容だった。

私は共和党支持派ではないが、少しだけパパブッシュの弁護をしたい。実は政権発足後も、彼はずっと増税反対派だった。その政治スタンスは変わらなかった。しかし連邦議会は民主党が主流派で、増税案を成立させたのだ。

パパブッシュが法案に署名しなければ法案は法律にならない。署名しないオプションもあったが、国家としての財政赤字が膨らんでおり、税収をあげることは共和党サイドからの要望でもあった。

そして民主党と増税案を調整し、最終的に署名したわけだ。結果的に増税することになり、選挙公約は破られることになったが、苦渋の選択だった。

人のいい、穏やかなおじいちゃんに見えるが、中国大使を経験し、CIA長官も務めた外交の表も裏も知る老練な政治家だった。

ご冥福をお祈りいたします。(敬称略)

georgebush12.6.18

Photo courtesy of NARA

中国大使時代。妻ローラ・ブッシュさんと。

カテゴリー: Thought for the day,国際事情 ― 2018年11月29日
ゴーン逮捕が示す日本の美点

日産のカルロス・ゴーン容疑者(以下ゴーン)が逮捕されて10日がたった。

いまだにゴーン関連のニュースは後を絶たないし、次から次へとあらたな不正がでてきて、勾留期間は当初の20日間よりも長くなりそうだ。

昨日、ラジオフランスのインタビューを受けて、日本の司法について思っていることを述べた。フランスがメディアを含めてゴーン擁護の考え方に偏っていることは知っていた。だから敢えて言った。

「日本の検察がゴーンを逮捕したというのは、ゴーンが罪を犯した証拠を握っていた証し。日本では起訴された容疑者の99%が有罪になります。証拠があいまいな中で日本の検察は逮捕に踏み切らない」

いま欧米からは日本の司法のあり方が「前時代的だ」とか「推定無罪を理解していない」という批判が噴出している。

私も米国に四半世紀もいたので、基本的人権や推定無罪については理解しているつもりだ。だが、日本の検察はすべての案件で、「あやしい輩」を起訴しない。つまり、重要な事件で起訴に動いているということだ。

日本の裁判件数をみても、過去30年間減り続けている。確実に「罪をおかした悪人」を起訴する傾向が強まっている。

言い換えれば、逮捕の前に徹底的に捜査を行い、事実関係を調べ上げて犯人を特定した上で起訴に踏み切っている。犯人は自白せざるを得なくなる。

アメリカにはいま連邦・州を合わせて受刑者が約230万人もいる。日本は6万弱である。人口がアメリカのほぼ3分の1であることを考えても、大変少ない。初犯であれば執行猶予がついて実刑にいたらないことも多く、アメリカ的な検挙と司法判断をつかうと日本の受刑者は何倍にもなるだろう。

それほど日本の検察は厳格に容疑者を調べてから手錠をかけているということだ。これは欧米には真似のできないことであり美点でさえある。

理念的には有罪判決がでるまで「推定無罪」という考え方があってもいいが、日本の司法に限っては起訴=有罪という図式であり、日本の司法の特質だろうと思う。