なぜグーグルはロビー活動に20億円もかけているのか

ここに興味深い数字がある。1800万ドル(約20億円)――。

 2017年、検索エンジンの最大手グーグル(アルファベット)が米首都ワシントンで使ったロビー活動費である。

20億円という数字は2017年、米民間企業がロビー活動に費やした金額としては最高額である。しかもこれまで、IT企業がロビー活動費のリストでトップになったことはなかった。

政治の町ワシントンで、大手企業が連邦議会の法案の成否に関与することは日常的なことである。連邦開示法により活動内容と費やした金額を公開しなくてはいけないが、合法的に政治にかかわってロビイストを雇うことは自由である。

しかしこれまでは国防、通信、エネルギーといった分野がロビイストたちの主な領域だった。例えばボーイングやAT&Tなどは使途金額のトップ10に入る常連企業で、いまでも両社はリストに名前を連ねている(続きは・・・米国の政治を操り始めたIT企業たち)。

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Photo courtesy of thehindu.com

世界中が呆れるトランプを辞めさせられない理由

ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)は1月20日で就任1年を迎える。目の前にはいくつもの難題が待ち受けている。

北朝鮮問題や中間選挙もあるが、政治生命にかかわる最大の問題は何と言ってもロシア疑惑である。トランプ本人が訴追される可能性が消えていないばかりか、連邦議会での「弾劾」という言葉はいまでも米国で飛び交っている。

筆者は昨年、当欄で何度か「トランプ弾劾」の可能性について記した。ロシア政府による2016年の大統領選介入はすでに確定的であり、トランプ陣営との共謀が疑われている(続きは・・・世界中が呆れるトランプを辞めさせられない理由)。

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1998年12月、連邦下院がクリントン大統領の弾劾法案を成立させた翌日のワシントンポスト紙

バノンが明かすトランプの本音

ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)の右腕と言われた前主席戦略官スティーブ・バノン氏(以下バノン)にインタビューした。

ここではバノンに直接聞いた話だけでなく、以前の言動も踏まえて、特筆すべき点をいくつか記し、今年のトランプ政権の総括としたい。

1つ目はロシアゲートの真偽である。

ロシアゲートは昨年の大統領選にロシア政府が介入し、トランプ選挙対策本部と共謀した疑惑のことである。バノンに真偽を問うと、「完全なフェイクニュースだ」と断言。共謀どころか、ロシア政府が大統領選に関与したことすら認めなかった。

(続きは・・・今もトランプの腹心、バノンが明かす米政権の本音)。

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Photo courtesy of Twitter

米ドラッグストアが医療保険会社を食う

米国のヘルスケア業界に先週、新たな動きがあった。日本ではまだ見られない動きで、今後関心が高まりそうだ。

米ドラッグストア最大手のCVSヘルス(以下CVS)が医療保険大手のエトナ(業界3位)を買収すると発表したのだ。この動きは日本で言えば、マツモトキヨシがライフネット生命を買収するということに似ている。

両社が買収を完了させるのは2018年下期になる予定で、買収額は675億ドル(約7兆6000億円)と巨額で、統合されれば今後日本にも影響が出てきそうだ。

今回の動きは単に「薬局が保険会社を食った」というだけではない。そこから先を見据えた業界の動きがあるのだ。何があるのかを見ていきたい(続きは・・・米薬局が医療保険会社を食う)。

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Photo courtesy of PhotoPrintPrices

米セクハラ糾弾旋風の最終章は大統領

米セクハラ問題の最終的な対象者はドナルド・トランプ大統領(以下、トランプ)だろうと思っている。

いま米国ではほとんど途切れることなく、著名人のセクハラ問題が浮上している。ハリウッドの映画関係者から政治家にいたるまでの「糾弾の波」はとどまることがない。最終到達点は政界トップになる可能性がある。

トランプのセクハラ問題に移る前に、今回のセクハラ問題に少し触れたい。

ことの発端はニューヨーク・タイムズが10月5日、映画プロデューサー、ハービー・ワインスティーン氏のセクハラ問題を暴露したことである(米セクハラ糾弾旋風の最終章は大統領)。

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Photo from the White House