殺人と考える方が自然:ナワリヌイ氏の死亡

このニュースに接した方の多くは「ロシア政府が手をくだしたに違いない」と思われたことだろう。それほど不自然な死だった。

ロシアでは最も名のとおった野党指導者だったアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)。ロシア政府当局は16日、同氏が収監されていた北極圏の刑務所で死亡したと発表した。その日、ナワリヌイ氏は散歩から戻った後「気分が悪い」と言い、そのまま意識を失ったという。救急医療チームが蘇生を試みたが、意識は戻らず亡くなった。まだ47歳だった。

同氏の側近レオニード・ヴォルコフ氏はSNSで、「ロシア当局が刑務所でナワリヌイ氏を殺害した」との告発文を公表した。ナワリヌイ氏は死亡前日の15日、刑務所内から動画を発信しており、その映像には元気な姿が写っていた。

米バイデン大統領は同氏の死去を受けて、「彼はプーチン政権によるあらゆる腐敗や暴力、悪行に立ち向かった。それに対し、プーチン氏は彼を逮捕し、でっちあげの犯罪で起訴し、実刑判決をくだした。そして独房に入れさえした。それでも彼は真実を口にすることを止めなかった」と述べた。

ナワリヌイ氏には複数の罪状が課せられていたが、それは当局が彼を拘束するための口実であると言われている。同氏は「未来の美しいロシアへの希望と信念」を決して失わなかったという。彼を支える信奉者たちはプーチン体制の終わりとロシアの政治変革を期待していたが、しばらくは実現が遠のくことになった。

宇宙滞在最長記録

人間はどれくらいの期間、宇宙に滞在し続けることができるのかー。

ロシアの宇宙飛行士オレグ・コノネンコ氏(59)が4日、878日11時間を超えて、これまでの宇宙滞在最長記録を塗りかえた。878日というのはおよそ2年と5カ月。ただ継続的に2年以上いたわけではなく、累計である。

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最初に同氏が宇宙飛行にでたのは2008年で、今回が5度目の国際宇宙ステーション(ISS)滞在となる。ISSは地球から約420キロはなれた軌道を周回しており、地球への帰還予定は今年9月23日。その日まで滞在すると滞在記録は1110日に達する。

これまでも宇宙に関連する世界記録は米国ではなくロシアが達成する傾向があった。1957年にスプートニク1号という世界最初の人工衛星を地球周回軌道に打ち上げたのもロシアだったし、61年にはユーリイ・ガガーリン大佐が人類初の有人宇宙飛行を行なってもいる。

ただ国際宇宙ステーションは米国とロシアが緊密に協力している数少ない国際プロジェクトの一つで、日本やヨーロッパを含めた多国籍共同プロジェクトでもあるため、このまま継続されてほしいと思う。

日本人が実感できない戦争

年が明けてから悲劇と呼べる出来事が相次いでいる。日本では大きな報道になっていないが、イエメンの反政府武装組織フーシによる商船への攻撃に対し、米英軍が報復攻撃を行っているのもその一つだ。すでに戦争と呼べるレベルで、すぐに収束するとは思えない。

「戦場」になっているのは紅海で、ここはスエズ運河を通してヨーロッパとアジアを結ぶ重要な航路であり、日本を含めた諸外国の商船はここを通過してきた。しかし戦場になってしまったいま、世界50カ国以上の商船はスエズ運河からアフリカの喜望峰を回る迂回路を使わざるをえず、コストだけでなく数週間の遅れが生じることになっている。

フーシはイスラエルを敵であると宣言している。昨年10月には、イスラエルにミサイル攻撃を行っており、「パレスチナで抑圧されている同胞を救うため」と発表した。基本的にイスラエルが攻撃をやめるまで軍事作戦を続ける意向で、ガザでの戦闘が継続される限り、フーシによる商船への攻撃は収まらないだろう。

「紅海の戦場化」により、すでに2000隻以上の商船が紅海をさけるために迂回を余儀されることになっている。今後は沈静化どころかフーシと米英軍による戦闘の激化の可能性もあり、今年はある意味で「戦争の年」になるかもしれない。

チャーリー・マンガーの軌跡

チャーリー・マンガーという人物をご存じだろうか。

11月28日に99歳で亡くなった弁護士であり投資家で、著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの副会長を務めていた人だ。過去1週間ほど、マンガー氏についての記事がいくつものメディアに登場している。

Munger 'in love with the Xerox machine' | CNN Business
Charlie Hunger from CNN

マンガー氏がいなければ、バフェット氏の成功はなかったと言われている。というのも、バフェット氏はマンガー氏の頭脳明晰さを何十年も前から賞賛し、ほとんどの経営局面で相談を持ちかけていたからだ。バフェット氏はこう述べている。

「私はウォール街の誰とも、チャーリーと話す100分の1の時間も話をしていない」

さらにマンガー氏のことをこうも評している。

「彼は30秒の頭脳の持ち主で、世界最高レベルといっていい。というのもチャーリーはAからZまでのことを一挙にこなすことができるばかりか、あなたが文章を書き終わる前にすべての本質を見抜くことができるからだ」

ただマンガー氏の人生が最初から順風満帆だったわけではない。離婚や経済的破綻を経験したばかりか、息子が白血病にかかって9歳で他界するという憂き目にもあっている。さらに自身も白血病にかかって左目を摘出した。それでもハーバード大学ロースクールを卒業後、弁護士として不動産開発等を手がけ、45歳からは投資家として資産を築いた。

米フォーブス誌によると、総資産は 27億ドル(約3980億円 )といわれている。またひとつ、巨星が消えた。

南極の氷が融解している:ペンギンが危機に

地球の温暖化が叫ばれて久しい。気温の上昇だけでなく、深刻なのは南極の海氷が融解していることだ。南極の氷の厚さは最も厚い所で4500メートル、平均で2450メートルといわれている。

仮に南極の氷がすべて融けだすと、世界の海面が現在より40〜70メートルも上昇すると言われている。そうしたことがすぐに起こる可能性はほとんどないが、それでも南極の氷床の融解ペースは1990年代と比較すると格段に速くなっている。

Emperor Penguins on Thin Ice | The Scientist Magazine®
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米コロラド州ボルダー市にある国立雪氷データセンター(NSIDC)は先日、南極海の海氷面積は1979年に衛星記録を始めて以来、過去最小を更新したと発表した。今年のピーク時にはテキサス州とアリゾナ州を合わせた面積の海氷が融解したという。

米科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」によると、海氷が減ることで、昨年、皇帝ペンギンのヒナが約1万匹も死んだという。今年も同じことが起こる可能性が高いといわれている。

皇帝ペンギンは毎年、5月から6月にかけて産卵し、2カ月後、冬の暗闇の中で孵化する。ヒナは柔らかい羽毛におおわれている間は氷上ですごす。 12月頃になると防水性のある羽毛が生えて海に入るのだが、その前に海氷が溶けてしまうと、ヒナたちは水に溺れ、餓死するか凍死する可能性が高くなる。

英国南極地域観測所の地理学者であるピーター・フレットウェル氏は、英雑誌「コミュニケーションズ・アース&エンバイロメント」に 次のように述べている。

「長い目で見れば、皇帝ペンギンの運命は、私たちがどれだけ大気中に炭素を排出し、どれだけ地球を暖め、気候を変化させているにかかっている。私たちの今後の行動次第なのである」

こうしたことを考えると、日々の生活の中で人間は電気やガスなどのエネルギーをいかに効率よく使い、また節約しなくてはいけないかがよく分かる。