2020年大統領選(1)

年が明けて、いよいよ2020年の米大統領選が始まろうとしている。メディアを含めて一般の方にとっては「まだ早いだろう」との思いがあるかもしれない。選挙は来年11月3日だからだ。

だが私にとっては「もう始まっている」選挙なのだ。

というのも今月に入り、トランプの再選を阻むために民主党から主要候補がすでに出馬表明をしている。私はアメリカの大統領選を「ライフワーク」と述べているので、今から注視しないわけにはいかない。

当ブログでは来年11月3日の投開票日まで随時、大統領選の情報を提示し、分析を試みていきたい。

1月22日現在、3人の主要候補(民主党)が出馬表明している。

フリアン・カストロ(前テキサス州サンアントニオ市長)1月12日表明

カースティン・ジリブランド(連邦上院議員)1月15日表明

カマラ・ハリス(連邦上院議員)1月21日表明

泡沫候補も含めるともっと多いが、今後トランプを倒せるだけの力を備えた人物となるとそれほど多くはない。

最終的にはトランプが「勝つか負けるか」に集約されるが、1年10カ月のプロセスで候補だけでなく、さまざまな問題や政策にスポットライトがあたり、議論されていくところに大統領選の価値がある。

人気だけでなく、指導者として持つべき知力、組織力、集金力、統率力、体力が試される。最後まで勝ち抜ける持久力がある候補だけが来年の11月まで生き残り、トランプと一騎打ちすることになる。

いまから楽しみである。

オプラ・ウィンフリーを大統領に?

 

oprah1.15.18

Photo from Pinterest

1980年代からアメリカのテレビ番組の司会者として走り続けてきたオプラ・ウィンフリー。いまはレギュラー番組から退いているが、民主党の次期大統領候補として名前があがっている。

世論調査では「いまトランプと戦えばウィンフリーが勝つ」という数字がでているほどだ(NPR調査50%対38%)。私がアメリカにいた時、どれだけ彼女のトークショーを観たかわからない。

最初はお世辞にもテレビ映りのいい人だと思わず、なぜ彼女が圧倒的と言えるほどの人気を獲得できているのか理解できなかった。ただ何度か観るうちに、歯切れのいいもの言いとまっとうな言説にうなづかされることが多くなった。

26年間も自分の番組をつづけ、世界140カ国で視聴されたことで資産を3000億円超にまでした女性である。できないことは何一つないと思っても不思議ではない。本人はまだ意思表示をしていないが、事実婚のパートナーが「出馬する」と漏らしいてると米メディアは伝える。

だがそれだけで大統領選に出るべきだろうか。人気投票で国家の指導者になれる、いや、選んでしまうことに違和感というより拒否感を抱く。

トランプの選択がまさにそうだったように、政治経験がなく、確固とした政治思想も持たない人間がアメリカという大国をリードしてはいけない。トランプの1年間でアメリカ人は学んだはずである。

フィンフリーが真剣ならば、まず議員か知事を経験すべきである。

個人的にはトランプより何倍も好ましいが、どうか2020年の大統領選には出馬しないでほしい!(敬称略)

トランプ氏が迫られる“資産1兆円”処分

今年2月から「日刊ゲンダイ」紙上でアメリカ大統領選について連載をしていました。選挙後からは「トランプ大統領誕生」というタイトルで連載を継続しています(不定期)。以下が最新記事です。

【連載コラム】 世界が激震 トランプ大統領誕生

ドナルド・トランプの1兆円超(自己申告)といわれる総資産は、大統領に就任後いったいどうなるのか。

というのも米大統領は任期中、公務に専念しなければならず、民間の企業・事業に携わることは許されない。大統領という立場を利用して利益を上げると、倫理上の問題が発生するのだ。

だがトランプはホワイトハウスに入った後も、大統領特権を利用して事業の継続を目指している。22日にニューヨーク・タイムズ紙本社を訪れた時、「法律は私に味方してくれるはず」と楽観的な発言をした。だが現実はそれほど甘くない。大統領が関与する事業となると、世界中から利益供与や贈収賄の誘惑が生まれやすい。

ブッシュ元大統領の倫理担当弁護士だったリチャード・ペインター氏は「資産をすべて売却することが望ましい。少なくともトランプと名のつく不動産を処分するか、トランプという名前を外すべきだ」と指摘する。ウォールストリート・ジャーナル紙も17日の社説欄で「最良の選択肢はすべて売却すること」と書いた。

だがトランプは「すべてを清算することは多難だ」と述べる。CNNによると、トランプは現在、世界中で約500の事業(企業を含む)を同時進行させており、約3万4000人を雇用している。来年1月20日の就任式までに全事業を清算することは実質上無理がある。

その他の方法としては、資産管理者に事業を委託することだ。英語で「ブラインド・トラスト」という。トランプは昨年6月の出馬表明時、大統領に当選した時は3人の子どもに資産・事業を委託する予定でいた。だが3人とも、いまはホワイトハウスに入って大統領のアドバイザーになる可能性がある。子どもが連邦政府職員になると、やはり民間事業には携われない。

前出のペインター氏は、「大統領が世界中の事業にかかわって利益を上げることはできない。売却は苦痛だろうが、それが大統領になるための条件」と清算がベストであると語る。

トランプが資産の売却を渋ってグズグズしていると、倫理問題が浮上して、大統領の立場が危うくなることも考えられる。リベラル系メディアは手ぐすね引いて待っているはずである。

trumptower11-27-16

(ニューヨーク市マンハッタン5番街に建つトランプタワー。左側に隣接するビルはティファニー本店)

「ヒラリーが勝ちます」

「堀田さん、どっちなんですか?」

過去1週間で、なんど訊かれただろうか。トランプがヒラリーを追い上げているニュースが流れているからである。ワシントン・ポストとABCニュースの共同世論調査では、トランプがヒラリーを1%抜いた。

それでも訊かれるたびに「ヒラリーが勝ちます」と断言している。

数千人を対象にした世論調査では、約2億2500万の有権者の総意を正確に捉えられない。どういう角度から予測してもヒラリー勝利という図式は私の中では不動である。

その中で、ヒラリーの得票率は46~47%、トランプは42~43%で「ヒラリー勝利」と予測しており、大きく外れないだろうと思っている。

4年前も同じだった(なぜ予測が当たったのか)。オバマの再選年、選挙直前でも各種世論調査はまちまちの数字をだしていた。

ギャラップ調査とラスムッセン・リポートは共和党ミット・ロムニーが勝つと予測した。CNNは49%で同率。ワシントンポストとABCニュースはオバマ勝利の数字をだした。

だが私はオバマが勝つと予測しただけでなく、得票率は「51. 3%から52.5 %」と計算した。実際は51.1%だったが、6000万人超の有権者の胎動はオバマ勝利に流れていた。

そのため世論調査はいまでも「まあ参考にします」くらいのモノでしかない。それほど当たらないものである。

今年も予測の状況に大きな違いはない。外れたらワタシは坊主である(予測が外れたら坊主)。(敬称略)

トランプの集会に2万7000人

11月8日(日本時間9日)。長かったヒラリーとトランプの戦いの結末がようやく見える。あと2週間だ。

トランプが負けを認めず、訴訟を起こす可能性もあるので、スッキリと「ヒラリー大統領誕生」という流れにならないこともある。

アメリカの大統領選は、全米50州に割り当てられた選挙人(538人)をどれほど獲得するかで勝負がきまる。私はヒラリーが最終的に340人前後を奪って圧勝すると予測している。

ちなみに270人が安定多数である。半年ほど前からヒラリー勝利と言い続けているので、やっと落ち着ける。ただトランプ支持者も依然として驚くほど多い。

トランプは昨日、今日と接戦州の1つであるフロリダ州を遊説している。ほとんどすべての集会をユーチューブで視聴できるので、話の内容と周囲の様子がわかる。

タンパ市にある「フロリダ・クレジット・ユニオン野外音楽堂」というコンサート会場で25日、トランプは約40分の講演を行った。驚くべきなのは、2万人収容の野外音楽堂に2万7000人が集まったことだ。

昨年の夏頃から、トランプの行く先々でこれまでの大統領選では考えられなかった数の有権者が姿をみせていた。3万人超という場所もある。だからいまさら2万7000人という数字には驚かないが、女性蔑視発言や大統領としての資質の欠如が明らかになっても、根強いトランプ支持がいることに驚嘆せざるを得ない。

演説の内容にはもう斬新さはなく、以前からの主張を繰り返すだけだが、それでも会場に詰めかけた有権者は「もう既存の政治家はいらない。彼のようなビジネスマンに任せるべき」とか、「彼ならアメリカを変えてくれる」といった期待を口にする。

それでもトランプが勝つ可能性は10%しかないと踏んでいる。もし勝利の女神が10%に微笑んだら・・・いまは考えないことにする。