残りカスのサントラム

アメリカ大統領選の共和党レースで、元ペンシルバニア州上院議員のリック・サントラムがミット・ロムニーを抜いて、支持率でトップに躍り出ている。

昨年末まで支持率で5%を超えることはなかった候補である。1月末でも15%前後をさまよっていた。だが元下院議長のニュート・ギングリッチの支持率が急下降したのと反比例するように、サントラム支持が急拡大。

共和党保守は穏健派のロムニー以外で候補を擁立したいとの思いが強い。つい数週間前まではギングリッチにその思いをたくしていたが、ロムニー陣営によるネガティブキャンペーンによってギングリッチは命を取られたといえるほど打撃を受けた。もう復活はない。

それに代わって登場したのが若いサントラムだ。

       

                            

ブッシュ前大統領と似た外交路線を信奉し、保守本流とよべる社会政策を主張している。そこに共和党右派勢力は、「我々の意見を代弁してくれる候補がいた」といった安堵感を覚えもする。

だが全米レベルでの選挙基盤は脆弱だ。選対のホームページも大統領候補としてはあまりにもお粗末な出来である。資金もロムニーやオバマに比較すると無きに等しい。消去法の最後に残った候補という印象だ。

本当に優れた候補であれば、昨夏の時点で頭角を現してしかるべきだった。だが、ミシェル・バックマンが消え、リック・ペリーが辞退し、ハーマン・ケインも脱落し、ギングリッチが終焉を迎えて、まるで「残りカス」のようにそこにいたというのがサントラムである。

個人的な思いを書かせて頂ければ、ロムニーが勝ち進んで今年11月にオバマと対戦することの方がオバマ陣営にとっては喜ばしいはずだ。というのも、オバマ陣営は過去1年、いかにロムニーをたたき落とすかの戦略を練り込んできているからだ。

サントラムは未知数が大きい。その分、捕らえにくい。(敬称略)