新たな旅

これまでもこのブログで旅について書いてきた。「世界の街角から」という写真の不定期連載も続けている。

世界中のさまざまな土地にいく機会も少なくないが、友人のK氏としばらく前から都内の「居酒屋の旅」というぶらり旅を続けている。

東京に住んでいても、用事がなければ行かない場所は多い。新しい町のレストランや飲み屋に行くことはあっても、それは人から聞いたりインターネットで調べたあとでの行動である。

月に1度、どちらかと言えば小さめの駅に2人で降り立つ。それまでまったく行ったことのない駅は、たとえ東京であっても新鮮である。行き来する人さえフレッシュに見えることがある。

事前のリサーチはわざとしない。その日その場で決めていく。

日本テレビで土曜朝に放映している「ぶらり途中下車の旅」は、カメラを回す何日も前にロケハンをし、用意周到な準備をする。番組制作なので当然である。だが、われわれのは本当のブラリである。

JRにしろ私鉄にしろ、駅周辺に飲み屋がないということはほとんどない。いつもは3軒ハシゴして帰宅する。その日は午前様である。

積極的に知らない駅に降りて、予約なしで居酒屋に入る。それは新たな旅といえる。

今月は京浜急行電鉄の青物横丁という駅だった。住所は東京都品川区南品川。駅前の通りは、ジュネーブ平和通りという名前がついている。品川区がジュネーブと友好都市提携を結んでいるからだという。もちろん知らなかった。

すべて初めての飲み屋である。中にはすりガラスで外から店内が見えない飲み屋もある。そんな時はジャンケンをして負けた方がドアをあける。

引き戸をあけて「アッ、失礼しました」と締めてくることもある。今月も1軒あった。

3軒目に入った「えいちゃん」という店は渋かった。夫婦二人で切り盛りしている。モツ鍋もあれば、おでんもある。「焼きそば!」と言えば作ってくれる。それでも再度その店に行くことは、たぶん、ないだろう。

それが新鮮である。そして思うのである。人生は旅、、、、、であると。