試案:東北アップライズ

東北地方を再興するための政府の基本方針が固まりつつある。

法案の名称は「東日本大震災復旧復興対策基本法案」というもので、これだけで官僚が作り上げていることが即答できるほど冗長である。たとえば「フェニックス計画」とか「東北アップライズ」とか、子どもが覚えて参加できるくらいの愛称はつけるべきだ。

内容も、50年か100年に1度あるかないかの都市再興計画の機会であるにもかかわらず、ほとんど「復旧」のレベルを出ていない。仮設住宅の建設は大切だが、その先に見えるのはチマチマした応急措置的な、いかにも小役人が考えそうな町づくりがほとんどである。

それで本当にいいのだろうか。このままでは、何十年か後にはまた同じ運命を辿らないとも限らない。

「高台に住宅を建設する」といった考えを超越した未来型都市づくりの絶好のチャンスのはずである。官邸のホームページで復興構想会議の15委員の顔ぶれを見たが、大学教授と県知事が中心になったメンバーで、旧来型の復興計画しか期待できない。

仮にそのメンバーが斬新な計画を練り上げたところで、最終的には官僚によって「これはできません」「これもだめです」と水増しされて無難なところに着地しそうな気配を感じる。その会議とはまったく別に、20代から40代で構成されたメンバーに、壊滅した三陸海岸の村を造り直すパイロット計画を任せてはどうだろう。

地方自治体の長が超法規的な行政力を発揮して、自由な発想から世界の小都市が真似るモデルシティを建設する。しかも、スピーディーにことを進める。1万人以上の都市ではなく、わざと人口1000人以下の町を選ぶ。

ソフトバンクの孫やビルゲイツのような億万長者を説き伏せると同時に、政府からも特別予算を出させる。すべて特例でコトを進める。もちろん町の人も含め、全国いや全世界からボランティアに来てもらい、建設業者をはじめとするプロ集団の手助けのもとで町造りをする。                       

中国や北朝鮮が高速道路やダムをつくるときに一気に数千人を投入するように、常時3000人くらいがかかれば半年で小さな町は完成する。社会主義的な統制系統でいい。

   

                      

すべての町民が高台に住む必要はない。強度的にどんな津波にも耐えられる鉄筋のハイライズ(高層)をたとえば5棟ほど造ってそこに住んでもらう。私でさえ、これくらいのことは考えられる。

「これはできません」的なマイナス思考ではなく、「これを可能にする」という積極思考でコトを進めてほしいと思うのは私一人ではないはずだ。