トヨタ自動車社長がワシントンの連邦議会の公聴会に現れた。CNNの映像を観ながら「相変わらずだな」と思っていた。
何が「相変わらず」なのか。
公聴会そのもののあり方である。社長の豊田が証言するということで報道関係者の数はすさまじかった。議員たちの出席率も高かった。それが活気のない普段の下院公聴会と違うところだったが、議員たちの立ち振る舞いと公聴会の流れは相変わらずだった。
1983年末に初めて議会を訪れてから1年弱、私は日本の新聞社のインターンとして毎日連邦議会に通った。90年にジャーナリストとして独立後は記者証をとり、2007年春に帰国するまで議会はつねに取材の場だった。
公聴会というのは大きく4つに分かれている。立法、調査、承認、監視で、そのほかにフィールド公聴会という連邦議会以外の場所で開かれるものがある。
立法公聴会はもっとも公聴会らしいもので、法案を作成する過程で参考人から話を聴く場だ。調査公聴会は、ウォーターゲート事件などを徹底解明するような会である。承認公聴会は大統領がくだした人事を承認するのが目的だ。オバマがヒラリー・クリントンを国務長官に指名し、それを公聴会で承認する時に招集される。
最後が監視公聴会で、豊田が証言した下院の監視・政府改革委員会(House Oversight and Government Reform Committee)などは、諸事の案件の現状を公に聴くことが目的だ。
普段の公聴会では、議員たちは質問するときにだけ姿を見せて2つ、3つ、質問してすぐに退席する。だから、檀上に委員長と質問する議員の二人だけということも珍しくない。しかも入退室は自由なため、議員もスタッフも出入りが激しい。質問もスタッフが考えて、それを読むことが多い。
議員の豊田への質問は、豊田の稚拙な受け答えもあって、過激さが増した。あの過激な議員の態度こそが私にしてみると「相変わらず」なのである。
今年11月は中間選挙である。下院議員は全員改選。彼らの言動は選挙を前にした地元有権者へのパフォーマンスとして考えておく必要がある。
CNNが監視・政府改革委員会の公聴会を生中継することなど数年に1度もない。議員として、これ以上のチャンスはない。それはまさしく政治ショーであり、そこに豊田が乗り込み、火にあぶられたとみた方がいい。
オハイオ州選出のデニス・クシニッチなどは、アメリカのビッグ3の労働者を擁護する立場にあるため、豊田への激しい糾弾がめだった。こうした状況を日本の大手メディアは説明しなくてはいけない。「政治ショー」なのだと。(敬称略)


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