カテゴリー:国際政治 2007/7/17 火曜日

新しい北米同盟

大手メディアが扱わないニュースは数多い。


日本のTVや新聞は官庁からの情報のたれ流しを止めないし、報道内容も画一的なのでどのメディアをみても同じようなニュースばかりだ。雑誌が独自の視点から報道を続けてはいるが、やはり今もっとも勢いのあるのはインターネットである。ただ玉石混交なので、何が本当なのかは自身で判断しなくてはいけない。


数ヶ月前、北米3国(アメリカ、カナダ、メキシコ)の新しい動きを知った。主要メディアではなくインターネットでの情報だった。私の勉強不足かもしれないが、少なくとも大手メディアでは大きな扱いをしていない内容である。


3国が新しい同盟関係を築くというニュースだった。北米3国の同盟といえば、すぐに北米自由貿易協定(NAFTA)が思い浮かぶが、それとは別に「北米の安全と繁栄のパートナーシップ(SPP)」という枠組みを立ち上げたという。


しかも2005年3月に、すでにテキサス州でブッシュとメキシコ大統領フォックス、カナダ首相ポール・マーティンの3首脳がSPPの第1回サミットを開いていた。NAFTAは関税の撤廃が最終ゴールだったが、SPPは北米版の欧州連合(EU)を目指していて、経済的な連携強化だけでなく安全保障やエネルギー資源での共有を掲げている。


ホワイトハウスのホームページにもSPPの記述があるし、一見、何の問題もないように見えるが、実はカナダが実質的にアメリカの内部に取り込まれることになると警鐘を鳴らす学者や政治家がずいぶんといる。


ハーバード大学で政治学博士号を取得し、現在はキレのあるニュース解説記事や書籍を記しているジェローム・コーシィは、SPPが本格始動すればカナダはアメリカのエネルギー資源の植民地(特に天然ガス)になると書いている。日本がアメリカの植民地であるといわれ続けているが、隣国だけに状況は日本よりも深刻だ。


ただ、これまでカナダはアメリカと運命共同体と呼べる距離にいながら、独自性を維持しつづけてきた。カナダらしさというのはアメリカと距離を置くことでさえあったが、SPPが本格始動したら、それが揺らぐ。


カナダとの政治・経済面での国境が今まで以上に「低く」なり、アメリカに利用されやすくなる。3国は共通通貨「アメロ(AMERO)」に移行する可能性さえあるという。このアメロについてはCNNでも報道があったが、今のところドルが消える可能性は低いし、米財務省も否定している。


ただコーシィは7月、SPPを問題視した著書「後発の偉大なアメリカ:メキシコとカナダとの融合(仮訳)」を出版し、3国の国民だけでなく世界中でSPPの事実がもっと公表されるべきだと主張している。


というのも、SPPは議会の承認も得ないまま、3国政府役人と大手企業の役員によってほとんど秘密裏に同盟が進められ、いつの間にかカナダもアメリカも一緒になっていたということになりかねないからだ。私は陰謀論をほとんど信じないが、SPPでは相互の利害が凝縮されていることに間違いない。


SPPの第3回目のサミットが8月20日からケベック州で開催される。3国の行政府はもちろんイケイケムードであるが、新しい3国同盟の真意と動向に注目しなくてはいけない。(敬称略)



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カテゴリー:政治 2007/7/5 木曜日

福島瑞穂の会見

「何も変わっていない」


今月2日、外国特派員協会で行われた社民党党首、福島瑞穂の会見に出席して胸に去来した思いである。21世紀になっても旧社会党の考え方をそのまま持ち続け、いまや国民にほとんど支持されていない現実を前にしても何も変わっていない。


「最新の共同通信の世論調査では、社民党の政党支持率は1.3%と低迷している。この現実をどうとらえていますか」


福島にこう訊くと彼女は言った。


「なかなか支持率が上向かないというのは事実。ただ国会内での議席数は少なくともいい仕事をしているという自負はある。参院選の選挙キャンペーンを好機ととらえて、もっと支持を確保していきたい」


参院選にむけてのスローガンは「9条と年金があぶない」。マニフェストも読んだが、数議席しか持たない社民党がそのマニフェストを実現できる可能性はなく、夢物語で終わっている。


旧社会党は労働者の味方といわれた。いまでも福島は労働法制を整えていくと口にするが、いまや共産党よりも支持率は低く、100人に1人しか支持されていない中で理想論に終わっており、寂寥感さえ漂う。


野党でも、民主党には9条改憲に前向きな議員も大勢いるが、福島はそこは譲れないという。「9条の解釈で民主党と差別化をはかる」。何があっても護憲の姿勢は変えない。


それが彼女らしさなのだろうが、現実にそぐわない青臭い政治思想を持ちつづける限り、社民党の行き先はますます狭まるだろうし、このままでは将来、党の解散に追い込まれないとも限らない。そんな思いを抱いて会場を後にした。(敬称略)



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